オファリング営業とは? ソリューション営業との違いと、現場で実践する方法を解説

オファリング営業とは?ソリューション営業との違いと、現場で実践する方法を解説

この記事の著者

垣内聡実

垣内 / 株式会社サプリ セールス&マーケティング担当

日々、営業力強化をお考えのお客様とやり取りする中での気づきや学びをもとに記事を書いています。答えのないテーマほど面白いと思っているタイプです。

「うちもオファリング営業に切り替えていこうと思って」

最近、お客様からこんな言葉を聞く場面が増えました。私(垣内)はサプリでセールスとマーケティングを担当しているのですが、ここ1〜2年でじわじわと「オファリング営業」というキーワードが会話に登場するようになってきた実感があります。

ただ正直、私自身も最初に聞いたとき「ソリューション営業と何が違うんだろう?」と思いました。調べれば調べるほど定義が人によってバラバラで、余計にモヤッとした記憶があります。

この記事では、そのモヤッとを解消すべく、サプリなりの解釈をベースにオファリング営業を整理してみました。「答えのひとつ」として参考にしていただけると嬉しいです。

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オファリング営業とは?

まず、言葉の意味から整理しましょう。

「オファリング(Offering)」は英語で「提供するもの」「申し出るもの」を意味します。ビジネスの文脈では、自社が顧客に提供できる製品・サービス・ノウハウなどを体系的にまとめた「提供物の定義」を指します。

つまり「オファリング営業」とは、自社が提供できる価値をあらかじめパッケージ化しておき、それを起点にして顧客へ提案していく営業スタイルのことです。

コンサルティングファームやSIer(システムインテグレーター)の世界で先に広まった概念ですが、近年はDX推進やクラウドサービスの普及にともなって、より多くの業界・企業に広がりつつあります。

なぜ今「オファリング営業」が注目されているのか

背景には、従来型の提案スタイルが抱えるある課題があります。
たとえばソリューション営業では、お客様の課題をヒアリングしてから提案内容を設計するのが基本です。これは理にかなったアプローチですが、裏を返すと「毎回ゼロから提案を作る」ことになります。

その結果、

  • 優秀な営業担当者ほど稼働が逼迫する
  • 提案の質が担当者個人のスキルや経験に依存してしまう
  • 同じような課題を持つお客様に対して、バラバラな提案が生まれる

こうした「属人化」の問題は、組織規模が大きくなるほど顕著になります。私がお客様とお話しする中でも、「できる担当者が抜けると一気に数字が落ちる」という悩みは本当によく耳にします。

さらに昨今は、DXへの対応やクラウドサービスの普及により、企業が解決しなければならない課題が複雑化・多様化しています。「課題を聞いてから考える」というスタイルでは、スピードもクオリティも追いつかなくなってきた——そういった時代的背景もオファリング営業が注目される理由のひとつです。

一方でオファリング営業では、「自社が解決できる課題と提供できる価値」をあらかじめ整理・パッケージ化しておきます。営業担当者はそのパッケージを持ってお客様のもとへ訪問し、「我々はこういった価値を提供できます。御社の課題に当てはまるものはありますか?」という会話を起点にします。

これにより、提案のスピードが上がり、誰もが一定水準の提案ができる状態(=再現性)が生まれる、というわけです。

ソリューション営業・コンサルティング営業・アカウント営業との違い

ここで、混同されやすい他の営業スタイルと比較してみましょう。

ただ、その前に一言お断りしておくと、これらの営業スタイルの定義は、人や会社によって微妙に異なります。私たちサプリでもこの記事に書いたことが唯一の正解だとは思っておらず、「こういう整理の仕方もあるよね」というひとつの視点として読んでいただければ幸いです。

ソリューション営業

ソリューション営業とは、顧客の課題を丁寧にヒアリングし、その課題に合わせた解決策(ソリューション)を提案する営業スタイルです。「商品を売る」のではなく「問題を解決する」という思想が根本にあります。

御用聞きや製品説明型の営業からの「脱却」として広まったスタイルで、現在でも多くの企業が目指すベースラインとなっています。

ソリューション営業の特徴

  • 顧客の課題を聞いてから提案を設計する
  • 提案内容はお客様ごとにカスタマイズされる
  • 担当者の「質問力」「提案設計力」が成果を左右する
  • 再現性は低め(属人化しやすい)

コンサルティング営業

コンサルティング営業は、ソリューション営業をさらに上流に進めた概念です。課題を聞いて解決策を提案するだけでなく、顧客自身がまだ気づいていない課題を発見・提言するところまで踏み込みます。

経営課題や戦略レベルの会話ができる「信頼できるパートナー」として関係を築くことが求められ、高度な専門知識とコンサルタント的な思考が必要になります。

コンサルティング営業の特徴

  • 課題発見そのものが価値になる
  • 経営層・上位職との対話が中心
  • 深い業界知識・専門性が必要
  • 一部の優秀な担当者しか実践できないことが多い

アカウント営業

アカウント営業は、特定の重要顧客(アカウント)との関係を長期的に深めることを重視した営業スタイルです。

新規開拓よりも既存顧客との関係構築・深耕が中心で、「担当者が変わると関係がリセットされるリスク」を組織的な管理で防ぐことを目的としています。

アカウント営業の特徴

  • 長期的な関係構築が主目的
  • 担当企業ごとに深い理解が必要
  • クロスセル・アップセルが発生しやすい
  • 関係性が成果に大きく影響する

そしてオファリング営業

ここで少し本質的なことをお伝えすると、オファリング営業は他の3つと少し性格が異なります。

ソリューション営業・コンサルティング営業・アカウント営業は、どちらかというと「どのようなスタンスで営業するか(プロセス・姿勢)」の話です。一方でオファリング営業は、「何を売るものとして定義するか(提供物の設計)」の話が本質に近い。

そのため、厳密には「オファリング営業 vs ソリューション営業」と並列で比較するより、「ソリューション営業という姿勢を持った上で、オファリングという武器を持つ」というイメージのほうが実態に近いかもしれません。

この整理を前提に、次の比較表をご覧ください。

ソリューション営業・コンサルティング営業・アカウント営業との違い

オファリング営業の誤解を解く

「オファリング営業 = 決まったものを売り込む営業」と誤解されることがあります。でも、それは本来の意味ではありません。

オファリングはあくまで「起点」であり「営業ツール」です。パッケージ化した提供価値を持参してお客様と対話し、「型と現実のギャップ」を把握したうえで提案をカスタマイズするプロセスは、むしろソリューション営業と変わりません。

ひとつのプロジェクトで成功したからといって、そのオファリングをそのまま別の会社に売ることはできない。お客様の状況・社内事情・意思決定の構造は会社ごとに異なります。だからオファリングは「提案書」ではなく「地図」として使うものと考えると理解しやすいでしょう。

地図を持って現地に行き、実際の地形に合わせてルートを調整する——そのプロセスこそがオファリング営業の実践です。

「売り物が決まっていること」は弱みではなく強みである

もう一点、よくある誤解を解いておきたいと思います。

「提供価値をパッケージ化する = 融通が利かない」というイメージを持つ方もいますが、実際はその逆です。

「売り物が定まっていない」状態の営業担当者は、何を話せばいいかわからず、お客様との会話が表面的になりがちです。また「うちには何でもできます」という提案は、お客様から見ると「どこが得意なのかわからない会社」に映ることも少なくありません。

これは私自身の商談でも感じることで、「御社の強みってひと言で言うと何ですか?」と聞かれたときに迷わず答えられる営業担当者と、そうでない担当者では、お客様の反応がまったく違います。

得意領域が明確であること、提供価値が言語化されていること——これは営業担当者にとって、最強の武器のひとつです。

現場でオファリング営業を実践するためのステップ

では、実際に「オファリング営業」を取り入れるためには何から始めればいいのか。具体的なステップを見ていきましょう。

ステップ1:自社の「強み」と「解決できる課題」を棚卸しする

オファリング営業の出発点は、「自社は何ができる会社か」を言語化することです。

意外と、これができていない会社は多いです。「なんでもできます」「お客様の課題に合わせます」というスタンスは一見柔軟に見えますが、営業担当者にとっては「何を伝えればいいかわからない」という状態を生み出しています。

棚卸しの視点としては以下が参考になります。

  • 過去に受注できた案件に共通する「顧客の課題」は何だったか
  • 自社が最も得意とする業種・職種・規模はどこか
  • 競合と比較したときに「ここだけは勝てる」という強みは何か
  • お客様から繰り返し褒められるポイントはどこか

こうした問いに向き合うことで、「自社が最も価値を発揮できる提供価値の型」が浮かび上がってきます。

ステップ2:過去の成功事例をパターン化する

棚卸しができたら、次は過去の成功案件から「再現できる型」を抽出する作業です。

  • どんな課題を抱えた会社に対して
  • どんな提案をして
  • どんな成果が出たか

これを複数の成功案件で整理していくと、「このパターンの課題を持つお客様には、このソリューションが刺さる」という型が見えてきます。

重要なのは、この作業を「営業担当者だけ」でやらないことです。実際にサービスを提供したコンサルタント・エンジニア・研修講師など、デリバリー側のメンバーと一緒に取り組むことで、「現場の生々しさ」を持ったオファリングが生まれます。営業の視点だけだと表面的になりやすく、デリバリー側だけだとマニアックになりすぎる——その両方を掛け合わせることがポイントです。

ステップ3:オファリングをシンプルな資料にまとめる

パターン化ができたら、それを営業が現場で使える形に落とし込む作業です。

理想的なオファリング資料の構成は、以下の4ページが基本形とも言われます。

  • 1.対象顧客像:どんな課題を抱えたどんな会社向けか
  • 2.提供できる価値:課題に対して自社が提供できる解決策
  • 3.成果・事例:実際にどんな効果があったか(数値や事例)
  • 4.提供フロー:どのようなプロセスで提供するか

ここで大切なのは、「完璧なものを作ろうとしない」ことです。最初は「ないよりまし」のレベルで構いません。実際にお客様に持参してみて、反応を見ながらアップデートしていくほうが、机上で作り込んだ資料より何倍も実用的なオファリングに育っていきます。

ステップ4:お客様に持参し、「型と現実のギャップ」をヒアリングする

完成したオファリングを持って、お客様のもとへ訪問します。

ただし、ここが大切なのですが、オファリングは「売り込む」ために使うものではありません。

「我々はこういった価値を提供できます」というものを見せながら、「御社の状況はどうですか?当てはまるものはありますか?」と会話を進めます。お客様の状況がオファリングの型と一致している部分もあれば、ずれている部分もある。そのギャップを丁寧にヒアリングすることが、次のカスタマイズ提案へとつながります。

このプロセスが、ソリューション営業と本質的に変わらないことにお気づきいただけたでしょうか。オファリングがあることで、「ゼロからヒアリングする」よりも会話が構造化され、お互いの認識合わせがスムーズになるのです。

ステップ5:フィードバックを集め、オファリングをアップデートし続ける

オファリング営業で最も軽視されがちなのが、この「改善サイクルを回す」という作業です。

お客様の反応を見ていると、「このポイントは刺さった」「ここは伝わらなかった」「こういう課題を持っている会社が実は多い」という情報が自然と集まってきます。その情報をもとにオファリングをアップデートし、また現場へ持っていく。

このサイクルを繰り返すことで、「受けるオファリング」が育っていきます。最初からすべて揃っていなくていい。使いながら磨いていくことが、実際の現場では最も効率的なアプローチです。

オファリング営業を組織に浸透させるために大切なこと

オファリングの設計ができたとしても、組織として浸透させるには「仕組み」と「文化」の両面が必要です。

営業とデリバリーの壁をなくす

オファリングを作る工程でも触れましたが、営業担当者とデリバリー担当者(コンサルタント・エンジニア・講師など)が連携していることが、オファリング営業の品質を左右します。

現場では「持ってきた案件の情報が足りない」「そもそも自社でできないことを売ってくる」といった摩擦が起きがちです。オファリングという共通言語を整備することで、この壁が少しずつ解消されていきます。

「売れ筋」と「非売れ筋」を早めに見極める

オファリングをいくつか設計してみると、「よく刺さるもの」と「刺さらないもの」が出てきます。刺さらないオファリングに時間をかけすぎず、刺さるオファリングを磨くことに集中することが重要です。

どんなオファリングが受けるかは、お客様に実際に持っていくまで分かりません。机上で完璧を目指すより、小さく試して早く学ぶ姿勢が組織全体の学習速度を上げます。

評価制度・インセンティブの設計も忘れずに

見落とされがちですが、オファリング営業を推進するには評価制度の整合も必要です。

従来の「受注金額だけで評価する」仕組みのままでは、営業担当者は目先の受注に走りやすい。オファリングの開発・改善に時間を使うことが正当に評価される仕組みがあってこそ、組織としてオファリング営業が根付いていきます。

オファリング営業とソリューション営業は「敵」ではない

ここまで読んでいただいた方は、すでに感じていただいているかもしれませんが、オファリング営業はソリューション営業の「代替」ではありません。

より正確に言えば、「ソリューション営業を組織として再現可能にするための仕組みがオファリング」というイメージが近いと、私たちは考えています。

顧客の課題を軸に提案する——という本質的な姿勢はどの営業スタイルにも共通しています。オファリングはその姿勢をより多くの営業担当者が、より安定して実践できるように「型化」したもの。

「優秀な1人の力に頼る営業」から「チーム全体で成果を出せる営業組織」へと進化するために、オファリング営業という考え方は大きなヒントを与えてくれます。

オファリング営業の土台となるスキルを磨くために

オファリング営業を現場で実践するには、個人の「提案力」も同時に磨いていく必要があります。

特に重要なのは以下のようなスキルです。

①顧客の課題を引き出すヒアリング力

オファリングを持っていったとしても、「型と現実のギャップ」を把握するためには、お客様の状況を正確に理解する力が不可欠です。「聞けているようで実は聞けていない」営業担当者は、思いのほか多くいます。

②提案をカスタマイズする構成力

ヒアリングで得た情報をもとに、オファリングを「この会社向けの提案」に仕立て直す力が必要です。「型を見せる」で終わるのではなく、「あなたの課題にはこの部分が特に効きます」と論理的に説明できることが求められます。

③価値を言語化する表現力

せっかく良いオファリングを持っていても、それが相手に伝わらなければ意味がありません。専門用語に頼らず、お客様の言葉で価値を語れる表現力は、オファリング営業の成否を分けるポイントです。

これらのスキルは、体系的に学び、繰り返し実践することで磨かれていきます。

オファリング営業で「属人化」から「組織力」へ

この記事でお伝えしてきたことをまとめます。

  • オファリング営業とは、自社の提供価値をあらかじめパッケージ化し、それを起点に顧客へ提案する営業スタイル
  • ソリューション営業・コンサルティング営業との関係は「対立」ではなく「補完」。顧客課題を軸にするという本質は同じで、「その姿勢を組織として再現可能にする仕組み」がオファリング
  • 実践のステップは、①強みの棚卸し → ②成功事例のパターン化 → ③資料化 → ④現場でヒアリング・フィッティング → ⑤アップデートの繰り返し
  • 成功の鍵は、完璧なオファリングを作ることではなく、小さく試して磨き続けるサイクルを回すこと

「一部の優秀な人だけが売れる組織」から「チーム全体で安定した成果を出せる組織」へ。そのための重要な手がかりとして、オファリング営業という考え方はこれからますます注目されていくでしょう。

ソリューション営業スキルを体系的に身につけるなら「営業サプリ」

オファリング営業の土台として不可欠なのが、「顧客の課題を的確に捉え、価値ある提案ができる力」です。そのスキルを現場で実践できるレベルまで引き上げるのが、私たちサプリが提供するオンライン研修「ソリューション営業コース」です。

ソリューション営業コースでは、顧客の課題発見・ヒアリング・提案設計・プレゼンテーションまでを体系的に学び、コーチとのロープレや実践演習を通じて「わかった」を「できた」に変えていきます。

半年間の実践サイクルを通じて、属人的な「センス」ではなく、誰もが使える「型」としての提案力を習得できることが、このコースの特徴です。

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この記事の著者

垣内聡実

垣内 / 株式会社サプリ セールス&マーケティング担当

株式会社サプリでセールスとマーケティングを担当しています。営業支援・人材育成を手がけるサプリで、お客様との商談や提案活動を日々行いながら、「営業って結局なんだろう」をずっと考え続けています。現場のリアルな声をできるだけそのまま記事に反映したいと思っているので、小難しい理論より「あるある」と思ってもらえる内容を心がけています。

この記事の情報は公開時点のものです。

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