達成シミュレーションとアクションプラン
継続的に営業目標を達成している優秀な営業メンバーは、常に自分の営業目標を意識して、その達成に向けた営業計画を緻密に考える思考習慣が身についている。
今回は、そのような思考習慣を営業チーム全体に定着させるためのシクミをつくるための「数字管理シート」「案件管理シート」とそれを活用したメンバーの行動管理についてお伝えしよう。
図「数字管理シート」を見てほしい。私が以前勤務していたリクルート社では、通称「ヨミ表」と言われていた。
この数字管理シートは、あるホテルの宴会営業部門の例だ。宴会営業とは、ホテルが持つ宴会場を使ってもらうために、イベントや催事を行うお客様を獲得する営業をイメージして欲しい。
数字管理シートには、Aヨミ、Bヨミ、Cヨミという欄があるが、これは受注確率をランク分けしているものだ。
上段の集計数字の(6)部分「残数字」という欄を見てみると、目標数字から、売上が確定している受注済とAヨミの数字を差し引いた数字が表示されるようになっている。
現在が5月だとすれば、5月の目標達成はほぼ確実だ。だが、6月は20万円、7月は100万円が不足している「残数字」だ。
こうすることで、
という“ヨミを立てる”事ができる。すなわち、営業目標達成に向けたシミュレーションができる構造になっているのだ。
不足している金額を意識せずに、目標達成することはできない。私がお手伝いしているお客様の営業メンバーに、「今月の残数字はいくら?」を聞くと、すぐに返答が返ってこないメンバーが意外と多い。営業メンバーには、この「残数字」を常に意識づけることが重要だ。
限られた営業日数の中で、効率的に「残数字」を埋めるためには、受注確率と売上規模を勘案し、営業案件の「詰め」と「仕込み」のアクションプランを考える必要がある。
アクションプランを考えるには以下のような「案件管理シート」が有効だ。
このシートをみていると、例えば6月の20万円の不足分は、BヨミのH社研修会25万円か、市役所宴会20万円の商談を「詰める」ことで、どちらかが受注できれば達成だ。
一方、7月の100万円の不足分を埋めるには、CヨミのJ社行事100万円だけが頼みの綱で、心もとない。早めに新規案件の「仕込み」が必要だ、といった具合で次のアクションを考えることができる。
以上のように、「数字管理シート」「案件管理シート」には、営業メンバーが自分で記入しながら「残数字」を把握し、「詰め」と「仕込み」のアクションを考える習慣を促す狙いがあるのだ。
このような自らのアクションプランを各営業メンバーが自主的、自律的に練っていけるチームの業績は安定している。
リーダであるあなたにはこれらを活用してメンバーの行動を管理し、アクションプランの検討と実践を促す役割がある。そのためには、以下の3つを営業メンバーに求め、徹底することが重要だ。
→自分が追いかけるべき金額(残数字)ボリュームをタイムリーに認識できると共に、この時期にこれくらいの案件があれば達成できそうだという感覚が分かるようになってくるのだ。
→「次の一手」を記入することで、残りの金額を埋めるために必要となる作業ボリュームが分かってくる。そうすることで、限られた日数の中で、どのようなパワー配分をすればよいかイメージできるようになってくるのだ。
→先々の数字を頭に入れ、新たな案件の仕込みを早めに行うようになり、安定した業績を維持することができるようになるのだ。
イラスト:室木おすし
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