プロセスマネジメント
プロセス・マネジメントとは、目指すべき結果に到達するまでプロセスを標準化、可視化して、そのプロセスの進め方、進み度合いを管理することで、結果を最大化させることだ。
概念的には理解している方も多いと思うが、「訪問件数」や「見積提示件数」を管理する事だと勘違いしていることも多い。
今回は、本質的なプロセス・マネジメント手法についてお伝えしよう。
「“見積提示”まで進めば受注確率は50%なのです」
「だから、“見積提示件数”をプロセス指標として設定して、評価項目にも入れてマネジメントしています」
というリーダーがいる。
一見、プロセス・マネジメントを行っているように見えるが、営業現場では、次のようなやりとりになっている場合が多い。
営業メンバー「なんとか、見積もりだけでもさせてください!」
お客様「まあ、別にお見積もりを出していただくのは、構いませんけど…」
そして、会社にもどると、
営業メンバー「今日、“見積提示”1件、いただきました!」
と、上司に次のように報告している。
これでは、本当に商談プロセスが進んでいることにはなっていないのだ。
営業の都合による見積書発行というアクションをカウントしても意味がなく、この場合は、“見積依頼を受けた”というお客様の反応(リアクション)をプロセス指標として設定するのが妥当である。
つまり、お客様から「社内決裁の手続きに入りたいので、正式な見積書を出して欲しい」と依頼される状態にプロセスが進化している証を指標化すべきなのだ。
アポイント獲得件数、重要項目のヒアリング件数、提案依頼・見積依頼件数などプロセス指標となる項目はいくつもある。ただ、これらの指標をたくさん掲げて数値化しても意味がない。メンバーに最も意識させるプロセス指標を絞り込み、「まずはこれを頑張れ!」と言うことが肝心だ。
そのためには、優劣の差が出ている指標を見つけることだ。
例えば、アポイント獲得件数は一緒なのに、受注件数は大きく違う。そのプロセス指標をよく見ると、「重要項目のヒアリング件数」が大きく下回っている、というような指標を探すのだ。おそらく、リーダーなら感覚的には、メンバーの弱点を分かっているはずだ。
そこを客観的なデータで示すことで、メンバーに対して説得力がでてくる。
そうすれば、メンバーもその必要性を理解するので、重要項目のヒアリングスキルの強化、そのための準備などに真摯に取り組むようになるはずだ。
「結果を出せ!」とメンバーに声高に言うことは、実は、誰でもできる。一足飛びに結果だけを求めるのでは意味がない。プロセスの改善ポイントを示した上で、改善を促し、目標達成に導くことが、リーダーがやるべきプロセス・マネジメントなのだ。
このように営業チームで、プロセス・マネジメントの認識がそろってくると、受注確度にズレがなくなり、売上予測の精度が大幅にアップする。
イラスト:室木おすし
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