お客様目線とは?
営業や接客の心構えとして「お客様目線」という言葉はよく使われる。
では、あなたのメンバーは「お客様目線」で活動しているだろうか?
今回は、営業の目線だけでアクションを考えてしまいがちなメンバーへの、「お客様目線」の教え方についてお伝えしよう。
お客様目線とは、相手(顧客)の目線に立ってニーズを汲み取り、自らの行動を考えることである。そうすることで、営業の精度が高まり、結果、顧客満足度が上がって成果につながりやすくなるのだ。
お客様目線に立つためには、以下の2つのポイントに留意したい。
スカンジナビア航空のヤン・カールソン社長が全従業員に徹底した言葉が“真実の瞬間”である。顧客接点における最初の15秒間でお客様が抱く印象が、全体の印象を決める。数多くの15秒間の真実の瞬間を従業員に意識させ、その質を高める施策を次々と打ち出して業績をV字回復させた。
この考え方は、サービスや接客の改善策として、いろんな分野で応用されている。
お客様が自社の社員だけでなく、自社の店舗や商品、Webサイトなどの顧客接点に触れる瞬間を取り上げ、それをお客様の目線で見直してみるのだ。
例えば、旅館やホテルの例を挙げると、駅から降りたら道案内用の看板があるから分かるはずだと思っていても、お客様の目線で見ると街路樹が伸びて、実は看板が見えないことに気づいたりする。
この考え方を営業メンバーに教えるのにはロールプレイングが有効だ。
以前のコラムで、ロールプレイングでお客様役を演じることで、「お客様目線」を身に付けることができることをお伝えした。これも同様に、「お客様目線」で考えることで、何気なく使っている専門用語や資料が分かりづらいことに気づくのだ。実際にお客様になったつもりで考えることで、改善すべき“真実の瞬間”を導き出すのだ。
もう1つお客様目線に立つための手法を新築マンションの営業場面で説明しよう。
マンションのモデルルームに、3歳くらいの子供連れの家族が来訪した場面で、
「このマンションは、駅から徒歩5分という絶好の立地でして…」
と、チラシの見出しどおりの説明している営業メンバーがいたとする。
接客が終わってから、「あの親御さんは最初の説明を聞いた時、どんなことを頭の中でつぶやいていたと思う?」と、そのメンバーに聞いてみることをお勧めしたい。
ハッと気づいた顔しながら、
「『そんなこと、実際に駅から歩いてきたから分かるよ…』と思ったでしょうね」と、メンバーは言うだろう。
さらにお勧めしたいのは、「じゃあ、どんなつぶやきをしてもらえると良い?」と、メンバーに続けて問いかけて欲しい。
「『セキュリティーも充実していて安心だし、周囲の環境も子育てに適しているな』とつぶやいて欲しいですね!」と、お客様像に合った購買心理をイメージできれば合格だ。
つまり、自分が行う営業場面でお客様がどんなことを頭の中でつぶやきそうかを想像してみることだ。
そうすることで、セールストークが販売をする自分自身の目線に立ってしまっていたことに気づき、お客様目線の悩みやニーズに応えられる行動に改善することができるのだ。
メンバーにこれをおしえる際には、例に上げたように担当するお客様を思い浮かべるように伝え、自分が行う営業場面でどんなことを頭の中でつぶやきそうか、つぶやいて欲しいか、言わせてみるのが効果的だ。
このように、営業視点になってしまいがちなメンバーの目線を、お客様目線へと180度回転させると、営業の成果が出やすくなる。簡単でありながら効果的なこの取り組み、是非試してみて欲しい。
イラスト:室木おすし
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