メンバーの褒め方・叱り方
部下育成において、「褒める」と「叱る」というやりとりはつきものだ。いずれも効果的に行うことで、部下のモチベーションを大きく高めることができる。
一方、人間関係の悪化やパワハラを恐れて叱ることができないと悩む上司も増えている。
今回は、褒め方と叱り方の留意点について解説する。
褒める場合にも、叱る場合にも共通して欠かせない要素は、その人の内面ではなく、その人の行ったコトを事実ベースで取り上げることだ。
例えば、
「最近、営業センス、良くなってきたねー」と言われるよりも、
「今日、同行した商談では、お客様の表情の変化をよく見てたね!あの場面でちゃんと補足説明ができたから、納得してくれたと思うよ」
と具体的な事実を取り上げて褒めてもらう方が、心にしみるのである。
叱る場合も同じで、
「おまえ、事例について、もっと勉強しろよ」という言い方をされると、言われた方は、
「なんだよ、勝手に勉強不足って決めつけるなよ…」と感情的になるか、
「いや、知っていたんだけど、すぐに思いつかなかっただけで…」と自己防衛に走り、本来気づかせたいメッセージが伝わらない可能性が高い。
「今日のアポの事例説明の場面で、こちらが一番アピールしたいことを踏まえると、B社の事例が妥当だと思うけど、A社の事例を話した意図は?」という言い方の方が、相手は自分の行動を素直に振り返ることができる。
このような伝え方をするためには、日頃から部下の行動を観察して事実をつかみ、褒めるタイミング、叱るタイミングを逃さないことが肝心なのだ。
この前者と後者の違いは、伝えている側の意識が、部下に向いているか、自分に向いているかの違いだ。
本気で褒めている時は、「よくやった! それでいいぞ! すごいじゃないか!」という承認、賞賛の意を伝えて、部下を動機づけ、勇気づけようとする意識でやっているはずだ。
一方、「おだてる」は、部下が上司に対して潜在的に持っている「承認欲求」を上手く利用して、部下をコントロールしようという意図で行うことだ。この場合の目的は、部下の為ではなく、自分の為にやっていることになる。部下はこの微妙な違いを感じ取っていることが多い。
叱ると怒るの違いも同じだ。上司が自分のためを思って言ってくれているのか、自分の怒りをぶつけて、スッキリしたいために行っているのかは、相手はすぐ分かる。
パワハラだと言われてしまうのは、部下の成長のためにという意識が抜け落ちてしまい、自分本位の発言になる時だ。
今一度、部下にメッセージを発する前に、自らの意識の確認をして欲しい。
イラスト:室木おすし
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