リーダーがとるべきコミュニケーション
上位層の方針を部下に共有する、部下が納得して動くように伝えるなど、リーダーのコミュニケーションの取り方次第で、チームがうまく機能するかが決まる。そのために、リーダーには「チームを動かす方針を伝える」「メンバーの想いを汲み取る」といった2方向のコミュニケーションスキルが求められる。
今回は、そのうち“方針を伝えるスキル”について解説する。
幹部会議で決まった方針の議事録をそのまま読んで伝える営業リーダーもいる。ただ、それでは単なる伝書鳩と同じで、チームに対してリーダーシップを発揮していることにはならない。チームメンバーが「なるほど、よくわかりました。やる意味が理解できました。」と納得し、「このリーダーと一緒に、この方針を全うしたい!」と思えるように伝えることが、営業リーダーの役割だ。
そのためには、組織の方針を自分の言葉で語らなければならない。ポイントは以下の3点だ。
自分の言葉で語るとは、他人事のように話すのではなく、自分を主語に「自分は、~したい!」と、自分の想いを表現することがポイントだ。
例えば、「値下げ競争を避け、付加機能で差別化する」という方針が決まったとすれば、「自分(営業リーダー)としては、この方針を進めることで、プレミアム顧客層でNo.1のシェアを実現したい!」と実現したい想いを伝え、「これは、我々が優良顧客を取り込むチャンスであり、プレミアムブランドを確立するチャンスだ!」という意義を語ることがポイントだ。
最終的なゴールや目標だけでは、なかなかメンバーの動きを後押しすることは難しい。目標を細分化したスモールゴールを設定すること、そしてさらにその先のビジョンを見せることが大切だ。
上記の例に続けるとすると、「まずは、このエリアでの優良企業10社にアプローチして、付加機能サービスの受注実績を早急に挙げることが、最初の目標だ」と、最初のゴールイメージを伝え、
「この10社での導入実績は、強力な営業ツールになるはずだ!」
「『安かろう悪かろうという選択は、得策ではない』という考えに共感するプレミアム顧客層に営業が進めやすくなるはずだ」
「このストーリーが上手くいけば、No.1のシェアを実現できるはずだ」
と、その実現可能性をリアルな物語として語ることが重要だ。
ビジョンやゴールを語った後は実現のための具体的アクションに結びつけて伝えることを忘れないことが重要だ。
例えば、「そこで、皆さん(メンバー)が、今日からの営業活動で実施して欲しいことは、自分が担当する優良企業の担当役員への上司同行アポイントを取って欲しい」といった具合だ。
繰り返しになるが、営業リーダーの役割は、上位の方針を単に伝達することではない。
メンバーが納得し、行動するように、翻訳して伝えることが役割だ。
そのためには、冒頭でも述べた通りメンバーの想いもくみ取り、信頼関係を築くことが、その前提として求められる。
イラスト:室木おすし
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