勝ちパターンの見える化
トップ営業のノウハウを共有することは、強い営業チームを作るために不可欠ということはご理解いただけるだろう。
トップ営業は、どのような顧客に対しても通じる、お客様の購買意欲を高めるストーリーのパターン「勝ちパターン」をいくつも持っている。(「勝ちパターン」について、詳しくは前回の記事「営業ノウハウを共有する営業マニュアルは有効か?」も参照してほしい)
今回は、そのトップ営業が実践する勝ちパターンをチームメンバーに共有する際のポイントについて、詳しく紹介したいと思う。
勝ちパターンの共有には大きく3つのポイントがある。
営業ノウハウと言っても幅が広い。そこで、見える化するべき旬なテーマを設定することが重要だ。そのテーマの絞り方のヒントとしては、現在の営業チームで、売れている営業パーソンと優劣の差が生じている部分に着目することをお勧めしたい。
例えば、初回訪問の成否が受注率に大きく影響するとか、競合商品Aから切り替える営業は誰でもできるが、競合商品Bとコンペになると一部の人しか通用しない、と言った現象だ。
なぜなら、そのテーマはチームメンバーが問題意識を持ち、食いついてくる旬なテーマだからだ。またテーマを絞ることで、そこに営業メンバーの意識が集中し、ノウハウが集約されやすくなるのだ。
以下の図は精密部品メーカーA社の営業を事例に、優秀な営業メンバーの初回の商談についてインタビューして、「勝ちパターン」を図解化した例だ。
優秀なメンバーは初回の商談では、まず図に示したようなゴール状態にたどり着こうと思って、アポイントに臨んでいるのだ。
そして、そのゴールにたどり着くためには
とする意図が明確なのがわかる。
そして、例えば
Q:なぜ、社長の経歴を細かく話すのですか?
と聞くと、
A:会社案内を広げて説明するよりも、「ウチの社長は、この大手企業の技術部長をしていて、こんな想いで起業したんです」と言う方が、相手が興味を持ってくれるからです。
という明確な意図や狙いが返ってくる。
つまり、優秀な営業メンバーはひとつひとつの営業アクションに明確な意図や狙いを持ち、戦略的に商談を進めていることがわかる。
このように、売れている営業パーソンのアクションの内容とその意図を引き出して、思考回路を構造的に見える化すると、どんな顧客に対しても通用するノウハウ=「勝ちパターン」が見えてくるのだ。
優秀な営業パーソンのアクションの中でも、お客様の購買ステップで何を目的にそのアクションを起こしているかを言語化して共有することが重要だ。なぜなら、目的意識が共有されることで、新たな手法が他の営業メンバーから編み出されてくるからだ。
例えば、
「購買ステップ1で自社に興味を持ってもらうためには、社長の経歴を話すよりも、雑誌のインタビュー記事を見せる方が効果的だった!」
というように、効率的に新たな営業ノウハウが生み出され、磨かれ、活用されやすくなるのだ。
イラスト:室木おすし
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