部下のやる気を引き出す
「営業リーダーは営業マネージャーとどう違うのか?」では、マネージャーとリーダーの違いについて説明し、真の営業リーダーは、その人ならではの考えや情熱で人を動かすことができる“リーダーシップ力”を持った人であることを述べた。リーダーシップのある人というのは、営業チームの業績が振るわず、部下のやる気・モチベーションが下がってきた時でも、チームメンバーを奮い立たせる術を知っている。
そこで今回は、リーダーシップ力を活かし、部下のやる気・モチベーションを高める術について、事例を交えて紹介したい。
チームが低迷している時、“ガス抜き”と称して、愚痴を吐き出す場を設けるリーダーもいる。ただ、愚痴の共有は、“現状の不満”の言い合いで、傷をなめ合っている姿だ。本当にチームが低迷している場合は、傷のなめ合いだけでは、本気のスイッチは入らない。「危機感」=「将来の不安」を共有し、「このままではマズイ!」と奮起させることが重要だ。
とある飲食店を例にとって解説しよう。
この飲食店では、CS(顧客満足度)が下がり、リピート客が減少し続けていた。メンバースタッフたちは、人手不足によって十分な接客ができないことや、給与水準が低くスタッフの定着率が悪いなど、愚痴を店長に漏らしていた。
これは、先に述べた「現状の不満」の共有に過ぎない。ではどうするべきなのか。「危機感の共有」をするには3Cの観点から客観的に自分たちを見つめ直すことだ。3Cの視点とは
の3つである。このような、分析や対話をすることで、 「このままではマズイよね!」「もっと、できることがあるよね!」という雰囲気をチームないで共有することができる。
チームのモチベーションが下がってくると、どうしても内向きの思考になり他責思考になる。その時、リーダーはその雰囲気に飲まれてしまうのではなく、その雰囲気を変えるため、競合と比べて自分たちを客観的に見つめ直すシカケを講じることが重要だ。
再び飲食店の例に戻る。このチェーン店の中で、1日だけお店を臨時休業にして、繁盛しているライバル店にスタッフを連れて行った店長がいた。お客として視察に行ったのだ。
繁盛しているライバル店の仕事をお客様視点で体験してみると、明らかに自分達と違う部分が浮き彫りになる。
などなど
ライバル店を出てから、店長は連れてきたスタッフにそのお店の募集広告を見せて、
「このお店のスタッフの時給、みんなよりも安いんだよ」
「このままだと、本部からはもっと時給を下げろと言われても、何も言えないよね」
「でも、もっと工夫すれば、できることはあるよね」
と、静かに語りかけていた。
このエピソードは、後にスタッフから店長になった方が、「忘れられない1日」として語ってくれたものだ。この臨時休業にした日を境に、スタッフの目の色が変わり、様々な課題の改善に取り組み、業績を立て直したという。
自分たちの状況を競合と比べて客観的に見つめ直すと、自ずと自分たちに本当に足りない部分や改善点が具体的に見えてくるようになる。そこが見えてくると、自分たちが今やるべきこともわかり、改善の行動へとモチベーションがつながるのだ。
今回例にあげた店長が、一歩引いたところから競合や自分達を客観視する機会を設けたように、自分達が変わることで解決できることがあると思い直すシカケを繰り出すことが、“本気スイッチ”を入れるリーダーシップ力なのだ。
イラスト:室木おすし
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