仕事の振り方・任せ方
部下に仕事を任せることもリーダーの仕事の1つだ。ただ、どんな意図をもって仕事を任せるか、役割を担ってもらうかがポイントになる。今回は部下への仕事の任せ方について解説する。
多くの仕事を抱え、業績プレッシャーを感じている営業リーダーほど、人に任せるよりも、「自分でやった方が早く、良い結果がでる」「人に頼るのではなく、自分がなんとかしないと…」と思いがちで、仕事をうまく人に振ることができなくなる。
その気持ちもよくわかる。
ただ、そのような思い込みが、さらに多くの仕事を一人で抱え込み、自分で自分を追い込んでしまっている人も多い。さらに、いよいよ身動きが取れなくなり、十分な説明をせずに、いきなり人に仕事を振ってしまうことで、チームを混乱させてしまうケースもある。
営業リーダーの役割は、1)自らがプレイヤーとして高い成果をあげると共に、2)営業メンバーを育成し、メンバーを通してチームとして成果を出すこと、この2つを担っている。
メンバーの力量に合わせて仕事を振り、任せる事の意義は、上記2)に当てはまる。
短期間で成果を出すことに囚われると、「自分がやった方が早い」と、どうしても思ってしまう。だが、中長期的なレベルで結果がでればよいテーマを見つけることで活路が見えてくる。例えば、営業リーダーが大手のクライアントを数多く担当している場合、半年間で、成長株の若手メンバーと一緒に担当しながら引き継いでいくことなどが挙げられる。
例えば、営業成績は安定しないメンバーでも、ある業界にはめっぽう詳しいといった強みや特徴を持っている場合がある。そんな時は思い切って、得意な業界のお客様をその営業担当に集めて任せてみるのも一案だ。「好きこそ物の上手なれ」と言われるように、そこから成功体験をつかみ、戦力化するケースは多い。
この応用として、大きな強みは持っていなくても、あえて「業界担当」「新商品担当」といった専門性を培う役割を設定することで、結果として得意分野を持ってもらうことを促すような仕事に振り方もある。
営業リーダーでも、苦手な部分はあるはずだ。もちろん、自助努力でその弱点を克服することも大事だが、もし、その弱点を補ってくれるメンバーがいるならば、思い切ってその役割をまかせることおすすめしたい。
例えば、プロモーションセミナーの講演など、大勢の前で話すことが苦手だとしたら、「君の方が適任だからやって欲しい」と依頼するなどが挙げられる。
いずれの場合も、任せるメンバーに対して、「あなたを信頼しているから任せたい」「これを機に成長を期待しているから担って欲しい」という意図をしっかりと伝えることが、何よりも重要なポイントだ。
チームの目的目標、リーダーの想いを理解して、メンバーがこれまで以上の役割を担い、動き始めると、一気にチームに力強さが増してくるはずだ。ぜひ、チャレンジして欲しい。
イラスト:室木おすし
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