コーチングは、お互いの信頼関係を大切にしつつ、相手に自発的な気付きを与えて成長を促すことができる人材育成の手法のひとつです。コーチングの実践はメリットが多く、組織全体にとってもプラスになる要素が多い手法だといえるでしょう。
本記事ではコーチングをするために必要なスキル、コーチングにより人材育成で得られる効果や実際の仕事への活かし方について解説しています。ぜひコーチングを学び、現場での仕事でお役立てください。
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コーチングとは、効果的な対話をすることで、指導される側の自発的気付きを促し、目標達成を実現できるように導くコミュニケーションをいいます。
このコミュニケーションで、対象者のモチベーションを高めつつ、最大限のポテンシャルを発揮できるように促す点が特徴です。
これまでの部下育成手法としてはトップダウン型が主に用いられてきましたが、コーチングは双方向のコミュニケーションを必要とする点で、ボトムアップ型に移行しつつある現代社会に対応しているといえるでしょう。
また、「教える」という場面では、相手の理解度や現在の知識、感情面など、具体的な状態を考慮することが重要です。その人ごとに合った指導法でなければ効率的に効果的な指導を行うことは難しいでしょう。そのことを踏まえても、対話を用いて相手をよく観ることになるコーチングは、人材育成において有用な手法だといえます。
「コーチ」という言葉は、馬車のことをいう「coach」が語源となっています。
この「coach」は、大事な人を望む場所まで送り届けるといった意味で使用されていました。その後、意味が変容し、目標の達成を手助けするという意味合いで使用されるようになりました。
対象者を望む場所、つまり目標達成まで導くという部分は、指導する側はあくまでサポートを行い、対象者の自発的行動を促すというコーチングの基礎に繋がっています。
コーチングと似た言葉で「ティーチング」がありますが、こちらは対話を基礎とするコーチングと比較し、トップダウンの意味合いの強い言葉になります。
コーチングは双方向のコミュニケーションですが、ティーチングは一方向のコミュニケーションがメインです。また、上下関係が生まれることも両者の違いとして挙げられます。
また、コーチングはティーチングのように答えそのものや目標への到達方法を教えるのではなく、対話により対象者が目的達成のためにいかに行動すべきかなどの答えを引き出すといった点に特徴があり、これも両者の大きな違いだといえるでしょう。
コーチングはビジネスパーソンの育成・成長にとってもメリットが多い手法です。 特にコーチングで指導した場合、指導した側・された側の信頼関係の構築、また双方理解が深まり、組織全体にも良い影響があるといえます。
対話を繰り返し、お互いの理解を深めることにより、指導する側・指導される側である上司と部下の信頼関係がより強固に構築されるでしょう。
仕事においてはどうしてもトップダウン型のコミュニケーションが多くなってしまいがちですが、コーチングという指導法を用いた場合、上司が部下の話を聞く場面が増えます。
そのことにより、業務上のみのコミュニケーションから一歩先の交流をすることができ、結果、信頼関係の構築に役立ちます。
指導される側に対しての指摘ではなく、対話の中で行われた自主的な気づきによって指導される側は自己を省みることになります。そのため、単なる指摘の場合よりも、自身の行動を見直し改善する力が育まれます。
また、コーチングは一度きりのコミュニケーションではなく、目標達成まで何度も重ねて行うものです。過程などを振り返りながら改善を繰り返すことは、成長スピードのアップにも繋がるでしょう。
コーチングによる社内コミュニケーションの活性化は、最も大きいメリットといえるのではないでしょうか。
コーチングは対話の人材育成方法かつ、上司と部下の信頼関係を強固にするものだと前述しましたが、業務外においても構築された信頼関係はそのままなので、周囲の人間にも良い影響を与えるでしょう。
また、コーチングの様子が他の社内の人の目に入ることで、その他の人が指導する・指導される場合に参考にできることも挙げられます。
指導する側は、社内コミュニケーションの活性化が最終的に組織の生産性の向上にも繋がることを意識してコーチングを行うことをお勧めします。
コーチングを実践する上で必要になるスキルは以下の3つです。
・傾聴スキル
・承認スキル
・質問スキル
より良いコーチングを行うには、どのスキルも欠くことができません。
それぞれについて詳しく解説していきます。
傾聴とは、ただ話を聞くというだけではなく、深く理解しようと集中して、熱心に耳を傾けて聴くことをいいます。
話者の表情や声のトーン、仕草なども観察し、感情を受け止めて傾聴することは積極的傾聴と言われ、対話を行うコーチングにおいては欠かせないスキルです。
また、一般的に、人は話をすることで思考が整理されて気づきを得ることができるため、指導される側自身が考えや状況などをきちんと言語化し、話をできることは大切です。
対話において傾聴のスタイルを取ることは必須ですが、対話をリードするのは指導する側である点には注意が必要です。 傾聴はあくまでも指導の一環であることを念頭に置いて、最終目標にうまく到達できるよう導くという目的を忘れないようにしましょう。
承認とは、結果としての仕事の成果を認めるだけでなく、指導される側の人間的成長や変化などに対しても認め、それらを見ている・気づいている旨をきちんと伝えることをいいます。
ただ認めるだけでなく、行動や言葉できちんと伝えるという点がポイントです。
仕事は必ずしも全てに結果が伴うわけではありませんし、また、上司として育成中の部下がどのようなプロセスを辿り仕事をしたのかについて把握しておくことは大事です。
成果だけでなく、過程についてもきちんとフォローを入れることで、指導される側のやる気の向上につながる場合や、成長を実感できるきっかけになります。
ここでいう質問とは、対話において、指導される側が答えに窮さず、自分の考えをまとめたり、気づくことができたりするようなものをいいます。
単純な指示ではなく、質問をすることにより、自発的に考えさせる機会の頻度を増やし、最終的に指導される側の考え、自身で動く力を伸ばします。
質問には、相手の考えを整理させるものと、相手の思考を促すものの2種類があります。
質問の質によって相手の答えは変化するものです。質問する側が、その質問のやり取りで指導される側から何を引き出したいのか、どのようなことに気づいて欲しいのかなど、目的意識を持って投げかけましょう。
指導される側の思考が広がるような質問をすることで対話が発展し、頻繁な質問による対話のラリーは、指導される側の考える力を伸ばすきっかけになります。
コーチングを実践するためには、対話や質問の仕方などの知識・技術を学ぶ必要があります。 それではどのようにして学び、実際の現場で使えるように習得すればいいのでしょうか。
コーチングスキルは、意識的に学ぶことで習得できる技術です。実際に自身がコーチングを受け、実践の現場を経験することは、体感的に理解しやすく学ぶことも多いでしょう。コーチングは現在注目されている人材育成手法のため、セミナーが開催されることも少なくありません。その中でも質の良いセミナーに参加することができれば、短時間で知識と技術を習得することができるでしょう。
コーチングについて更なる知識を身に付けるためには、本を読むこともおすすめです。
読書体験により、ひとつの知識に対して、さまざまな別の角度から理解を深めることができ、人への伝え方や実践の際の助けとなる知恵を学ぶことができるでしょう。
コーチングについてはさまざまな書籍や資料が出ているので、参考にして自分で勉強することができます。
コーチングに限らず、技術や知識についてベストな状態を保つためには、知識の継続的な学習と実践が必要不可欠です。
また、指導する側が継続的に学習・実践を行う姿勢でいることは、指導される側の見本となることからも、少なからず良い影響があるといえます。
コーチングは自主性ある人材育成の手法としてとても有用です。また、対話によるお互いの理解を深めた上での信頼関係の構築は、仕事を進める上で社内にも良い影響があるといえます。そして、効果的な対話のためには、指導される側である部下をよく観て、よく聴く必要があります。
それぞれにあった教育方法で効率よく人材育成するためにも、指導する側もスキル向上が求められます。また、適切なコーチング手法を学ぶには自らが実践で学ぶのが効率的でしょう。外部サービスを利用するなどし、指導する側として効率的にレベルアップを図るようにしましょう。
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文:弥山 大生
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