メンバーの行動管理
営業活動の状況を把握して、誤っている部分があれば是正を促していくこと。これが行動管理だ。ただ、やり方を間違うとマイクロマネジメント(業務のやり方の細かい部分まで干渉し指示すること)に偏り、部下のやる気を低下させることにもなる。
今回は、適切な行動管理の手法について解説する。
メンバーの行動管理をする最終ゴールは、上司からいちいち言われなくても、メンバー自身が自分で行動管理ができるようになることだ。そのためには、「上司としてはこのポイントを重視し着目しているよ」という観点を、あらかじめメンバーと共有しておくことが重要だ。
行動管理の観点には、1)行動量の観点と、2)行動の質の観点がある。
行動量の観点とは、以下の2つを意味している。
行動の質としては、戦略、戦術、商談の3つのレベルで管理していくべきだ。
上記の2つの観点(行動量と行動の質)を、メンバーの状況、力量に合わせてすり合わせておくと、上司部下の報連相はスムーズになり、上司から言われなくても自分で意識して実行できるようになっていくことも多い。
まず、「行動量」の管理手法についてお伝えしたい。
ポイントは、営業目標に対する現状の見通しと不足分を数値化させ、それを埋めるためのアクションプランをメンバーに考えさせることにある。更に、このPDCAサイクルを頻度高く回すことを促すことだ。
より具体的な手法については、以前のコラム
営業目標達成を促す2つの管理シートとアクションプランを立てる方法を参照して欲しい。
次に、行動の質についての管理手法について触れたい。
一番重視しなければならないのは、「戦略レベル」の行動管理だ。
なぜなら、営業すべきターゲットとおすすめする商品が間違っていると、行動量が十分でも、優れたコミュニケーションスキルを持っていても、売れないからだ。
特に、新規顧客開拓が中心の営業や、担当顧客を数多く持っている営業の場合は、訪問先の妥当性について、メンバーと十分なすり合わせが必要だ。
より具体的な手法については、以前のコラム
営業チームで「顧客ポートフォリオ表」を共有しているか?を参照して欲しい。
一方、担当顧客数が少なく、受注契約までのリードタイムが長い場合には、「戦術レベル」の行動管理が重要となる。限られた商談の受注確率を最大限に高めなくてはならないからだ。
その場合のポイントは、営業プロセスを見える化し、着実に営業が進んでいるかどうかをメンバーと進捗確認できるシクミを作っておくことだ。
こちらのシクミ例については、以前のコラム営業ノウハウを身につけ「勝ちパターン」を意識づけ、実践を促すシクミをつくるを見て欲しい。
そして、まだまだ営業スキルが未熟なメンバーには、「商談レベル」の行動管理が必要だ。
この手法については、ちょうど前回のコラム部下の成長を支える「育成PDCAサイクル」を回す方法でご紹介した、「フィードフォワード」「フィードバック」が有効だ。
繰り返しになるが、行動管理の目的は、メンバーが自律的に行動管理できるようになることだ。そのためには、一挙手一投足を指示するのではなく、営業成果につながる観点を具体的に示し、考えさせることが重要なのだ。
イラスト:室木おすし
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