リーダー・マネージャー層が一度は抱える悩み、それは「以前は積極的に活動していたのに最近やる気が見られない」「まったくやる気が感じられないメンバーがいる」など、部下のやる気に関するものでしょう。
部下のやる気を引き出すのが管理職の役目ではあるものの、どうすれば解決できるのか分からず悩んでしまうケースは少なくありません。やる気のない部下の存在はチームに影響を与え、そのまま放置すると業績にまで影響を与えてしまいます。
そこで今回は、部下のやる気が出ない理由や対策などについて解説します。部下の扱い方に悩むリーダー・マネージャー層は、ぜひご一読ください。
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まず考えるべきは、部下がやる気をなくす原因についてです。やる気が出ない、やる気がなくなるといった状態になるには、必ず原因があります。ビジネスの場において、部下のモチベーションを下げる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
どれだけ努力しても評価があがらない…、そのような状態が長く続けば、誰しもモチベーションが低下します。評価をあげるために何をすればよいのか分からなくなり「何をやってもだめ」という精神状態に陥ってしまうのです。
これは、仕事での成功体験が少ないことが理由として考えられます。営業活動で成功した経験が少ないと自分でノウハウを蓄積することができず、多くの場合、困った時に参照できるようなマニュアルもありません。
特に、営業という仕事はマニュアル化されていないことがほとんどで、悩んだ時や迷った時に行動の指針にできるものがないのです。そのような状態では、自分の行動について客観的に判断できず、解決策を見いだすことはできません。
仕事そのものに対してモチベーションが湧かないというケースも考えられるでしょう。たとえば「自分のしている業務に意味があるのか分からない」「何の役に立っているか理解できない」という感情を抱くと、仕事そのものにやりがいを感じなくなってしまいます。
また「自分だけ大事な仕事を任せてもらえない」「誰にでもできる責任のない仕事ばかり割り振られる」と感じた時も同様です。この状態に陥ると、仕事をしていても緊張感がなく、ただ時間を浪費しているような気分になります。さらに「自分は上司に信頼されていない」と受け取ってしまい、仕事に対する前向きな気持ちまで失ってしまいます。
上司への反抗心も、やる気をなくしてしまう原因の一つと考えられます。
反抗心を持つ理由はさまざまですが、誰しも、尊敬できない上司や嫌いな上司からの指示や注意には従いたくないものです。
たとえば、上司の考え方に共感できない、人間的に上司のことが好きになれない・尊敬できない、パワハラのような言動があるなどの理由から反抗的な気持ちが芽生えた結果、アドバイスに耳を貸すことなく徐々にやる気を失っていきます。
では、逆に、人はどのような時にやる気が出るのかを考えてみましょう。部下のやる気を引き出したいなら、まず、人はなぜやる気が出るのかを知っておく必要があります。
人は、何か新しいことができるようになった時に大きな喜びを感じます。これは、仕事においても同様です。
自分ひとりではできなかったことができるようになる、それが成功体験となり、大きな自信と喜び、そして達成感を感じることができます。成功体験を味わった人は、また同じような気持ちを再び味わいたいと思うため、仕事に対するモチベーションが上がります。成功体験は仕事へのやる気を高めるためにとても大切なことです。
人は他人から褒められ、自分が認められたと感じることで初めて自信が持てるようになります。特に、上司から褒められることは特別な意味があり、自分が会社に貢献していることを実感できるうえ、会社に自分の居場所があるという安心感をもたらすでしょう。
また、上司からの評価は昇給や昇進にも大きく影響するため、将来に対する希望を持つことができます。上司に褒められることは、上司が考えている以上に、部下にとって大きな意味を持っているのです。
重い責任のかかる大事な仕事を任されるということは、上司から信頼されている証となります。もちろん大きなプレッシャーはかかりますが、それと同時に自分の力を試す大きなチャンスなのです。やる気がでないはずがありません。そして、無事にやり遂げた時の達成感も格別なものがあるでしょう。
また、大事な仕事や難しい仕事に全力で取り組むことは、部下のスキルアップにもつながります。成長した自分を実感することで、ますますやる気が高まるでしょう。
続いて、部下のやる気を引き出すためには、どのような対策が必要かをご紹介します。やる気のない部下を導くことも上司の重要な仕事。さっそく見ていきましょう。
部下のやる気を引き出すためには、繰り返し成功体験を積ませることが大切。成功体験と言っても、実際の営業活動で成功させる必要はありません。もちろん、本番で成功するに越したことはありませんが、疑似体験でも有効です。
たとえば、営業ロープレでさまざまなシチュエーションを体験し、営業活動の良い点を褒めてあげるとよいでしょう。練習であっても、褒められることは成功体験に含まれます。また、上司が営業に同行して成約までサポートする方法も効果的です。たとえ、上司のサポートを受けた結果であったとしても、成功体験であることに変わりありません。一人で成約まで持ち込むことが難しい部下に対しても、このような方法で成功体験を積ませて自信を持たせ、やる気を引き出すことができます。
職場の環境も部下のやる気に大きく影響します。モチベーションを高めて維持するための環境づくりに取り組んでみましょう。
たとえば、定期的にミーティングを開催し、意見交換の場を設けるのも一つの方法です。部下がどんなことをしたいのか、何か困っていることがないか、仕事に対する疑問や不安、不満などをヒアリングします。また、ミーティングという公の場において、部下の仕事を褒めてあげることでモチベーションを高めることも可能です。
息がつまるような上下関係は必要ありません。正直に話し合える環境と、ヒアリングした内容に対する行動が必要です。
経験の少ないうちは、仕事の進め方について迷うものです。だからこそ、業務のマニュアル化を進めることが大切。仕事で困ったことや迷ったことがあった時、いつでもすぐに問題解決のための情報を引き出せる充実したマニュアルを用意しましょう。
作成のポイントは、成功している先輩・上司のノウハウを盛り込むこと。成功するためのコツやエッセンスが凝縮されたマニュアルを共有することで、仕事の進め方を理解して実践できるようになります。
部下のやる気を高めるだけではなく、チームのスキルの底上げを図ることができ、業績アップの効果も期待できます。
部下がやる気をなくすのは、管理職に責任があるケースも少なくありません。部下との接し方や指導法に問題を抱えている上司は多く、この場合は、部下の問題ではなく管理職側の問題といえるでしょう。
解決策としては、マネジメントスキルを管理職に身につけさせることです。たとえば、研修を実施して部下との接し方や指導法などを学ばせ、それを現場で実践してもらいます。接し方や指導法が変わるだけでも部下には変化が見られ、チームも活気づくでしょう。
社内に、管理職の研修に関するノウハウがない場合は、外部の研修サービスを利用する方法もあります。管理職のマネジメントスキル向上を目的とした研修は数多く行われていますが、部下のモチベーションがあがる指導法を学べる研修を選ぶことが大切です。
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