組織として営業成績が上向きであったとしても、営業マネージャーは決して安心してはいけません。組織内の人員に対する仕事量のバランスが崩れてしまうことで、新人営業の指導に手が回らず「ほったらかし」状態になってしまうのです。
この記事では、新人営業が「ほったらかし」になってしまう理由から、状況を改善するために行うべきことなどを解説します。
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組織内の営業力を強化する上で、新人営業を戦力化することも必要な業務です。今後の組織の営業力に深く関わることですが、なぜ「ほったらかし」になる状況が発生するのでしょうか?
営業組織によっては、新人の営業メンバーを育てようというスタンスがない場合も考えられます。
「多くの人材を採用すれば良い人材が出てくる」「教えなくても自力でスキルを盗むもの」という考え方が組織に浸透していると、必然的に「ほったらかし」状態となってしまうのです。その他、教育担当自身が「ちゃんと教育してもらったことがない」という過去があれば、新人営業に対しても「新人は育てるもの」という考え自体が生まれない場合もあるでしょう。
「組織内の体質」「教育担当の背景」などさまざまな要因がきっかけで、育成する土壌がないことで「ほったらかし」は起こってしまいます。
営業組織内で、新人教育のゴール・育成期間・育成プロセスなどが整備されていないことも原因です。新人が入社した後に、行き当たりばったりで教育を行うと以下のような問題も発生します。
このような点から、「ほったらかし」状態が引き起こされます。
営業組織である以上、毎月の営業成績を追う必要があります。
組織全体で数字を達成することに焦点を当てて行動することで、新人教育を行うリソースを一時的に割けなくなる状況が発生するのです。
営業教育を行う上で、多くの企業がOJT(On the Job Training)を採用しています。
ただ、OJTは、上司・先輩自身の常識を押し付けることになってしまい、部下が自己発信できず受動的になってしまうのです。
上司・先輩自身が新人に対して「見て覚えろ」「スキルは自分で盗め」などと伝えると、新人によっては上司に考えを伝えることが難しく「ほったらかし」状態になってしまいます。
組織内で教育担当が特定の人に決まっている場合、教育担当が忙しくなってしまうことで「ほったらかし」状態となってしまいます。
組織として、教育担当を多くのスタッフが持ち回りで行うような仕組みが必要です。
新人営業の「ほったらかし」状態が続いてしまい、営業におけるスキルをしっかり教わらなかった場合にはどのようなことが起きるのでしょうか?
教育の中で言われたことはできるが、イレギュラーな状況が発生した時に対応ができなくなります。「教えてもらった知識をそのまま使う」力だけが身につき、「教えてもらったことを生かして発展させる」力が不足する可能性が高いです。
学ぶスキルを具体的にどう使うかを教育担当が伝えることで、新人営業が問題に直面した時に「問題を解決するためにどのスキルを使うべきか」を具体的にイメージできるきっかけを作ることができます。さまざまな場面を経験することで、状況に合わせて使うスキルを選定するような応用力も伸びていきます。
新人営業に対する教育フォローが希薄になっていくことで、社会人として新しくスタートする不安を払拭することができず、現在の組織で働く意欲を失うきっかけになってしまいます。
教育におけるゴールが明確になっておらず、目先の場当たり的な指導になってしまうと、「このスキルはどこで利用するのか」がイメージできずにモチベーションが上がらない状況を引き起こします。
「目指すべきゴール」を提示した上で、「教えているスキルがゴールを達成するために必要」であることを理解してもらうことで、自身の成長を実感できるのです。
「入社したのに教育もなく、ほったらかしにされる」状態が続くと、新人は会社に対する不信感が募り、転職を検討します。
近年は「少子高齢化」が進み、多くの企業が若い人材を獲得したいという背景から、早期転職に大きなリスクはありません。
人材流出を防ぐためにも、組織全体で新人の「ほったらかし」状態を防ぐことが重要になります。
営業組織を管理するマネージャー視点でも、新人営業スタッフの「ほったらかし」によって引き起こされるリスクを軽減したいと思うはずです。
具体的にどのような形で「ほったらかし」状態を改善すれば良いでしょうか?
常に数字を追い続ける営業組織においても、新人が早期退職する際に無駄になる採用・教育コストには無頓着である場合も珍しくありません。
営業マネージャーから新人採用にどの程度のコストが掛かっているかを組織全体に伝えることも必要です。 具体的に掛かるコストとしては以下があります。
その他、チーム全体で新人に「どのような人材になって欲しいのか」を決めた上で、その人材像になるためにどのようなスキルを取得させるべきかを落とし込みましょう。
それぞれのスキルを取得する上で、どのようなカリキュラムが必要かまで洗い出せれば、必然的に教育内容の枠組みが決まっていきます。
オンボーディングとは英語の「on-board(飛行機・船に乗っている状態)」が語源になっています。
人事用語では、企業という船に新人を乗せることでいち早く仕事を覚えて、現場の環境に馴染んでもらうことを意図した教育プログラムです。
オンボーディングには、以下のような決まりがあります。
上記の考え方を組織全体に浸透させることで、組織全体で教育を行う意識が芽生え、「ほったらかし」状態の回避に繋がります。
「目指して欲しい人材像の決定」「取得してほしいスキル」「スキル取得に必要なカリキュラム」が決定したら、「教育を行う時間」「教育を行うメンバー」も決めてチーム内での教育プロセスを明確にしましょう。
教育プロセスは「決まったら終わり」ではありません。
教育を進める過程で発生した問題を全体に共有した上で、教育プロセスの改善を行いながら質を高めていく工程が必要です。
組織内で「ほったらかし」状態をなくそうと徹底していても、小規模なチームであれば、チーム全体の作業負荷が上がることで新人に教育担当を付けられない状況も起こり得ます。
このような状況を想定した上で、外部の営業研修サービスを利用して新人に力を伸ばしてもらうことも1つの手段です。
営業マネージャーとして、チームメンバーに対して世代間の価値観の違いがあることを呼びかけることも大切です。
ベテランスタッフと新人営業スタッフ間の仕事に対する価値観の相違から衝突が発生し、ベテランスタッフが教育を放棄することも考えられます。
新人スタッフは、SNSなどを代表とする間接的コミュニケーションツールが発展した時代で育っていることから、直接的なコミュニケーションに慣れていない場合も多いです。
価値観の押し付けが「離職」に繋がる可能性も高いため、互いの価値観を否定せずに「相手の価値観を理解すること」もメンバーに呼びかけましょう。
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