営業効率を最大化する「THE MODEL」とは?

営業マネージャー視点で、組織内の営業効率を最大化したいと考えている方は多いのではないでしょうか?近年、テレワークなどの働き方の変化や多様なITツールの活用などを背景に、多くの企業で営業活動が見直されていることも事実です。

セールスフォース社で提唱されてきた「THE MODEL」は、抜本的な営業プロセス改善に繋がると話題になり、多くの日本企業でも取り入れられています。この記事では、「THE MODEL」の概要から導入によって変わること、導入における失敗例などを総合的に解説します。

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営業効率を最大化する「THE MODEL」とは?

営業マネージャーが知っておきたい「THE MODEL」とは

「THE MODEL」とは、セールスフォース・ドットコム社で実践されているBtoBマーケティングや営業活動プロセスに関連する分業体制を指しています。

これまで、セールスフォース・ドットコム社では「リード獲得」から「クロージング」「アフターサポート」までを1名の担当者が担っていました。
しかし、業務の属人化が発生するリスクから、「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサポート」までを分業化して、ITツールを活用して情報共有しながら営業活動を進める「THE MODEL」が誕生したのです。

「THE MODEL」の営業プロセスを紹介

「THE MODEL」では、営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4段階に分けています。
それぞれのプロセスの役割を解説します。

プロセス(1):マーケティング

マーケティング部門では、「見込み顧客(リード)の獲得」を担っています。
マーケティング部門は、営業プロセスの中で最も多くの人を相手に活動します。「メールマガジン・広告配信」「SEO対策」「SNS運用」などを含めた、さまざまな手段を利用して認知を獲得した上で、自社サービスへの興味を作り出します。

マーケティング部門は、「サイトPV」「自社が設定したペルソナ像に合致した顧客からの問い合わせ数」を目標に掲げて活動します。
自社の利益に繋がる顧客と繋がるために施策を打つのが、マーケティング部門の役割です。

プロセス(2):インサイドセールス

マーケティング部門が獲得したリードの購買意欲をさらに高めて、フィールドセールスに繋ぐ役割を担っています。
マーケティング部門が集めたリードを精査すると、サービスへの興味関心度合いに差があります。数あるリードの中から熱量の高いリードに絞ってアプローチを掛けていきます。
「営業メール」「電話」などのコミュニケーションを重ねることで、購買意欲を高めていきます。

インサイドセールス部門は、目標設定が難しい部門です。
商談創出件数を目標に設定すると、受注確度が低い商談を設定してしまうようになります。受注確率を目標に設定すると、受注確度が高い商談しか設定しなくなり、十分な商談数を営業に供給できなくなるのです。
インサイドセールス部門の目標設定は、自社の経営方針と照らし合わせた上で慎重に行いましょう。

プロセス(3):フィールドセールス

フィールドセールス部門は、顧客と商談を行なって契約を獲得する役割を担っています。営業部門では、顧客の状況を以下のフェーズに当てはめて管理しています。

  • フェーズ1「リード以上商談未満」
  • フェーズ2「ビジネス課題の認識」
  • フェーズ3「評価と選定」
  • フェーズ4「最終交渉と意思決定」
  • フェーズ5「稟議決裁プロセス」

引用元:書籍「THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス」第3部 第9章「営業(フィールドセールス)」商談のフェーズ管理(P125)より

フィールドセールス部門は、上記のフェーズを次に進められるようアプローチしていくのです。

プロセス(4):カスタマーサクセス

カスタマーサクセス部門は、「既存顧客サポート」「アップセル・クロスセル提案・締結」の役割を担っています。カスタマーサクセス部門は既存顧客であるお客様に寄り添って、サービス利用効果を最大化するサポートを行います。

設定目標としては、「お客様満足度」「継続率」「アップセル・クロスセルの金額」を設定している場合が多いです。

数値を可視化しKPIを明確に設定することが大切

営業プロセスを4つに切り分けたら、各段階で現時点での数値を洗い出した上で、可視化しましょう。最終的な売上を作るために、各フェーズでどの程度の成果を上げるべきかを明確にする必要があります。

上記のような「売上の因数分解」を行うことで、各部門で売上を向上するための要素が明確になり、この要素をKPIに設定することで「自分たちが目指すべき数値」が明らかになり、対策も可能です。
結果として、効率良く売上の増大に繋げることができます。

「THE MODEL」導入によって分かること・変わること

「THE MODEL」導入・運用によってさまざまなメリットが生まれます。導入によって分かること・変わることを解説します。

営業プロセスに潜んでいる弱点が見える

各プロセスにおける具体的な数値は、扱う製品や価格帯によって変動します。
しかし、すべての数値を明確にすることで、どこに問題があるのかを探り出すことが可能です。どのプロセスの数字が足りていないかが明確になるため、効果的な改善策を練ることができます。

分業化することで専門性を高められる

「THE MODEL」で区切った4つのプロセスはすべて専門性が高いため、兼務することは効率的ではありません。同じ営業という括りでもプロセスによって必要なスキルは異なります。

分業化して専門性を高めるのが理想ですが、組織構造・人的リソースの問題もあるでしょう。形だけを整えるのではなく、自社に自然とフィットする体制の構築を行うのがベストです。

相互に情報共有を行い、他部門との連携が強固になる

マーケティング部門とフィールドセールス部門は、仲違いしやすい関係にあります。
マーケティング部門は「せっかく集めたリードを、しっかりクローズして欲しい」と考えますし、フィールドセールス部門は「もっと確度の高いリードを送ってほしい」と考えます。
売上・受注数を追うフィールドセールス部門は、見込み顧客数よりも案件数を求めます。見込み顧客数を追うマーケティング部門は、潜在顧客数を気にしますが、案件数までは見切れません。

「THE MODEL」に倣い、インサイドセールス部門を挟んで、母数と成功率、ゴールの数値を可視化するとどうでしょうか。
「最終的な売上のために何件の案件が必要なのか」をフィールドセールスとすり合わせることが可能になり、見込み顧客を増やすためにマーケティング部門と相談することも可能です。数値を共有する他部門との連携を高めることが可能になり、部門間の衝突を緩和することに繋がります。

失注案件の復活も可能になる

営業プロセスからこぼれ落ちた失注案件は「長期フォロー顧客」として、タイミング良くインサイドセールス部門がアプローチすることで、新規案件にリサイクルする仕組みが構築可能になります。
マーケティングで得られた情報を無駄にせず、収益を最大化することに繋がります。

営業プロセスが標準化される

「THE MODEL」によって、営業におけるルールが定められます。
結果として、ひとりひとりがルールに沿って行動するようになり、営業個人の知見・センスに依存した属人的な営業が激減するのです。

誰もが同じような正しい顧客アプローチを取れるため、再現性が高まります。

顧客の動向に合わせた最適なアクションが可能になる

「THE MODEL」導入によって、競合他社に先んじて多様な購買プロセスに対応する的確なアプローチを行えることで、顧客の中で自社が優先順位の上位に位置できるようになるのです。

顧客を理解した上での最適なアクションを打てるようになるため、「THE MODEL」の導入が効果的と言われています。

「THE MODEL」運用を成功させる3つの基本戦略

「THE MODEL」を成功させるためには3つの基本戦略を抑える必要があります。それぞれについて詳しく解説します。

市場戦略

市場戦略とは、「戦略通りに行動すれば勝てる市場を見つけて戦う」ことです。市場とは、「顧客が求めること」だけではありません。「競合他社の存在」「外部環境の変化」などを踏まえた上で、「自社が提供できる価値」を定義します。

自社が提供できる価値を定義したら、どのようにして顧客に届けるかという戦略を立案する必要があります。
市場環境によって、自社がとるべき戦略も変わることから、最も効率良く販売できる戦略をもとに販売していくことが大切です。

リソースマネジメント

リソースマネジメントは、「ヒト・モノ・カネ」の経営リソースを最大限効果的に使うためのマネジメントです。どれだけ集客を強化したとしても、販売キャパシティは営業リソースを超えることはありません。
営業活動のキャパシティを超えて購買意欲の高い顧客を獲得してしまうと、待たされる顧客が生まれてしまい、失注に繋がります。

全体をみて「ヒト・モノ・カネ」を最適なリソース配分に調整することが求められます。

パフォーマンスマネジメント

パフォーマンスマネジメントは、各部門の社員のパフォーマンスを見て、ボトルネックを解消するマネジメントのことです。

「THE MODEL」を活用することで、「売上金額」「新規受注率」「受注件数」など様々な数値を洗い出すことができます。しかし、数値が低いものを取り上げるだけでは、ボトルネックを正確に掴んでいるとは言えません。1つの数値を見ると悪く映るものも、複数の数値を組み合わせることでそうではない場合もあります。
これらの複雑に絡み合う事象を俯瞰して、適切な判断を下しながら社員のパフォーマンスを上げることが求められます。

「THE MODEL」型組織への移行ができない3つの失敗例

「THE MODEL」において「分業ができない」というのがひとつの失敗例です。
分業ができない具体的なケースを確認して、自身が管理しているチームに該当していないか確認してみてください。

ケース(1):部門ごとの声の強い重役の意見が食い違う場合

部門毎にいる取締役などの声の強い意見が食い違っている場合には「THE MODEL」への移行は難しくなります。「THE MODEL」型組織の構築を成功させるためには、分業をするだけではなく、各部門が一貫して顧客の成功という目的に向かって動く必要があるのです。

部門同士で意見が対立している場合には、成果を出すことは難しくなるでしょう。

ケース(2):営業の数値化に否定的な場合

2つ目のケースは、「営業はアートだ」という信念がチームに浸透しており、なぜか営業データなどの情報を開示せずにブラックボックス化して、外部の人間に触らせない属人的な業務を持ちたがる営業が多い場合です。
「THE MODEL」では、営業を部門毎に分業して、顧客データを各部門ごとに共有する必要があるのですが、分業すらさせてくれない場合は、「THE MODEL」型の構築が進まない事態に陥ってしまうのです。

ケース(3):新規開拓・未受注の顧客掘り起こしを行わない場合

3つ目のケースは、新規開拓に取り組まない、未受注の顧客掘り起こしを行わない営業がいる場合です。

「THE MODEL」型の組織では、分業を行うことで今まで手が回らなかった部分、未開拓だった顧客へのアプローチや契約に繋がらなかった顧客からの契約などの成果を新たに創出することで、全体売上が向上します。
しかし、今までと同じことしかしない営業がいる場合には難しい結果となるでしょう。

「THE MODEL」の失敗を防ぐために抑える3つのポイント

最後に、「THE MODEL」導入の失敗を防ぐために抑えるべき3つのポイントを解説します。

部門間で協力関係を築きやすい目標を与える

人間の習性として、「グループに分けると対立」しやすいです。
「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」それぞれの利害が一致しなければ、目標を追う過程で衝突が生まれます。

「THE MODEL」を導入することで、それぞれの部門が協力関係を築きやすい目標を与えることが大切です。 協力しないと自身の目標も達成できない状況であれば、自然と協力するようになります。

問題に衝突した際、ボトルネックを特定することにフォーカスする

例えば、インサイドセールスの成績だけが振るわない場合に、多くの方がインサイドセールス部門に問題があると考えてしまいます。

しかし、実際にはインサイドセールス部門が商談に繋げやすいリードをマーケティング部門が集められていないから、インサイドセールス部門の成果が振るわない可能性も考えられます。
目先の数字だけを鵜呑みにせず、原因を深く掘り下げながらボトルネックを特定することが大切です。

ビジョン・ミッション・バリューを定義する

各部門が分断されていることから、1つの事業を運営する仲間であるはずが、それぞれの部門がそれぞれの目標を追うことで、仲間意識は希薄になっていきます。

肝心なことは、各部門が分断している状況でも同じ方向を向けるように、指針となるビジョン・ミッション・バリューを明確に定義しておくことが大切です。

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