個人に依存しない組織全体の営業力を強化する上で、SFA・CRMなどの営業支援ツールが注目されています。
しかし、実際に営業力強化を検討している営業マネージャーの中でも「SFAはどのようなものか」イメージできない方も多いのではないでしょうか?
この記事では、営業マネージャーが知っておきたい「SFA」の概要から、導入することで実現できること・メリットと課題について解説します。
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SFAとは「Sales Force Automation」と呼ばれており、既存の営業活動を効率化したり、営業力を強化することを目的とした「営業支援システム」です。具体的には「営業活動の一部分を自動化する」「チーム全体で課題を見える化して分析を行う」などで生産性の底上げを図ります。
CRMは、「顧客関係管理」「顧客関係性マネジメント」と呼ばれています。 顧客の氏名・年齢・属性などの基本情報をはじめとして、購買履歴・志向などの情報を一元管理して、蓄積されたデータを元にして、マーケティングサポートや効率的な営業活動のマネジメントが可能です。
CRMの中にも営業活動の支援・管理が目的に含まれていることから、CRMを実践する要素のひとつとしてSFAがある認識を持つと良いでしょう。
MA(Marketing Automation)とは、マーケティング活動を自動化するためのツールです。
具体的な役割として、ターゲット層から顧客になりそうな見込み客を育成して、商談まで進むプロセスをサポートします。プロセスの一部または全てを自動化することで、マーケティング活動を効率化して、売上拡大・収益向上を実現する役割も担っているのです。
■SFA
見込み顧客のクロージングを担当する営業の効率化を目指すもの
■MA
見込み客の獲得・育成を目的とするマーケティングの効率化を目指すもの
SFAとMAの説明を見ると、これらは横並びの関係となっており、お互いに連携することで、より多くの成果を挙げることが可能となっていることがわかります。
下のグラフは、ここ2年で業績が上がった組織の営業マネージャー、下がった組織の営業マネージャーにそれぞれ「SFAの導入状況」についてアンケートを行った結果です。
これを見ると業績が上がった営業組織(グラフでは「業績UP群」と表記)では44.3%がSFAを導入しており、業績が下がった組織(グラフでは「業績DOWN群」と表記)の4倍以上にのぼる事がわかりました。いまやSFAは「売れる営業組織」のスタンダードになりつつあるのでしょう。
SFAを導入することでできることは主に以下があります。 営業マネージャーとして組織での営業を効率化するために知識として頭に入れておきましょう。
顧客情報と営業状況を一元管理することで、営業担当者が重複してアプローチすることを防いだり、担当が変更された時に引き継ぎができていなかった等のミスも防ぐことが可能です。
具体的には以下のような情報を管理します。
営業状況に関しては、組織として営業ノウハウを蓄積したり、過去の商談履歴や内容を分析して、組織として最適なアプローチを導き出すことも可能です。
営業メンバーが担当している業務プロセスを数値化して、管理することが可能です。具体的には以下のような情報を管理します。
上記のような営業活動の結果を左右するプロセスをデータとして可視化し、「プロセスを再設計する」「無駄が発生している作業を短縮する」などの改善を行うことが可能です。
また、メンバーそれぞれのアクションを管理することで、営業成績が伸びているメンバーと伸び悩んでいるメンバーの行動パターンを比較して、より良い営業手法を導き出すこともできます。
「営業担当者」「部署」「顧客」「商品・サービス」などさまざまな基準で売上予測と実績を可視化する機能が備わっています。予測と実績比較も簡単になり、目標達成度の観測も簡単に行えるようになるのです。
過去の営業履歴を事細かくデータとして蓄積して、分析を行うことで組織全体の業務プロセス改善にも繋がります。営業メンバーがそれぞれ抱えているボトルネックを発見するためにも効果を発揮します。
日報・週報など営業活動に不可欠な資料作成をサポートします。
定型化されたフォーマットを入力するだけで報告業務を完了することが可能になるため、「報告業務の短縮」「各営業メンバーの行動・成果をリアルタイムで把握」などが可能になるのです。
一言にSFAと言っても、多くの会社がさまざまなSFAツールを発表しています。ここでは数多くあるツールの中から、主要なSFAツールを3つご紹介しましょう。
Sensesは「現場が使いやすいSFA」をテーマとして掲げており、誰でも直感的に使いこなせるUI(ユーザインタフェース)と現場での営業活動を効率化させる機能に特徴があります
従来のSFAツールと比較しても、現場への定着度が圧倒的に高いのがSensesのポイントとなっています。
Sales Cloudは世界で見てもトップシェアを誇るSFAツール。非常に多機能であり、基幹システム/MAなどとの連携を含めて多くのことを実現できてしまう点が特徴です。
しかし、多くのことができてしまう故に、運用に多くのコストが掛かってしまう場合もあります。実際に活用を行なっているのは大企業が多いため、導入を検討する上で会社の規模とサポート体制などを用意できるかも考えなければなりません。
Sales Cloudの次に国内のSFAツールのシェアが高いのが、e-セールスマネージャーです。営業プロセスの見直しなども可能である上に、SFAを導入した後の運用までのサポートにも定評があります。
「営業ツールに慣れていない」などの問題を抱えており、SFAを営業現場に活用してもらうことがハードルになっている企業におすすめです。
導入が求められているSFAですが、具体的にどのようなメリットを得られるか知りたい方も多いのではないでしょうか?
この項目では、SFA導入によって得られる7つの利点を解説します。
口頭での連絡・紙ベースでの業務報告は、プロセスを含んだ細かな情報共有やリアルタイムの更新ができないという課題を持っています。
SFAを導入することで、日々の営業情報を蓄積することで、細かなプロセスを含む多様なデータを効率的に保管が可能になるのです。そして、これらの情報をさまざまな分析の形で生かすことが可能になり、営業の可視化に繋がっていきます。
営業マネージャー目線では、一連の営業プロセスを俯瞰してチェックできることで「担当者がつまづいたポイント」「失注や受注までの経緯」が把握しやすくなり、的確な指示と的を絞った指導も行えるのです。
これまでの訪問した記録から提案した内容までを細かく蓄積していくことで、顧客の状況に応じてどのようなアプローチが適切なのかを考えたりする効果的な営業アプローチが可能です。
その他にも、過去の成功事例を組織内で共有することで、類似した案件に直面した際にヒントとコツを得ることもできます。
SFAを導入することでスマートフォン・タブレットなどを利用して、時間・場所を問わずに「隙間時間」で情報入力が可能です。
入力した情報はリアルタイムに管理者に伝えられることから、「営業報告で会社に戻る」「上司の都合に合わせて時間を作る」などの手間が一切なくなります。
時間を気にせずにタブレット・スマートフォン上で上司に報告を上げることができるため、的確な助言やサポートが受けられるようになります。
また、営業マネージャー側の目線では、各営業担当者に戦略的な人員配置、商談についての的確なアドバイスを行うことも可能になり、マネージャーとメンバーの連携が密になるのです。
SFAを導入していない場合、各営業メンバーと顧客で話された内容・やり取りなどを営業マネージャーが全て把握することは難しい状況でした。
営業活動が可視化されることでメンバーをより細かな項目で評価を行うことが可能です。
過去の成功事例の分析を行なった上で、組織全体の業務プロセスの改善を行うこともあるでしょう。
SFAを利用することで、成功事例から組織全体の業務プロセスを改善することで、成功事例の再現性を高めることが可能です。
膨大な顧客情報を管理できれば、「過去の商談履歴」「どのような営業活動が行われているか」等を可視化して把握することができます。効率的な営業活動を行う上でもSFA導入はメリットと言えるでしょう。
SFA導入のメリットを紹介してきましたが、SFAを導入することでデメリットも勿論あります。数多くのメリットがあるSFAですが、導入前に抑えておきたいデメリットも見ていきましょう。
SFAを導入するためには一定のコストを支払う必要があります。
しかし、実際に導入を行なっても「システムを使いこなせない」「費用がかかりすぎる」などの事例で導入が失敗することもあるのです。
使いこなせれば営業を効率化する強い味方になりますが、使いこなせない場合も想定して、どのようにSFA利用を浸透させるかを事前に確認しておく必要があります。
データを蓄積することでSFAは効果を発揮することから、営業活動内でSFAに情報を入力する時間を確保しなくてはなりません。
情報を細かく記載しようとすれば1件10分と見積もっても、6件で1時間の入力時間が発生します。
SFAは、組織の営業活動を効率化する上で切っても切り離せないツールです。しかし、いくら素晴らしいツールでも、上手く活用できなければ意味がありません。
最後に、SFAを最大限活用するために抑えておきたいポイントを解説します。
SFAはあくまでも目的を達成するための「ツール」です。導入する目的、具体的には導入することで解決したい課題を明確にしておくことが求められます。
「案件の進捗管理を行いたい」「属人化している情報を組織で共有したい」など、導入目的を決めることが「最初のステップ」として必要です。
SFAの知識を深める研修・サポート体制を整備する
SFAツールを組織内のメンバーが使いこなすために、SFA導入後のサポート体制を考えておくべきです。具体的には、SFAツールを選定する際に、「導入を行う際のサポートが充実している製品を選ぶ」などでも良いでしょう。
SFAツールには多くの機能が備わっているが故に、利用するユーザーが迷ってしまうことも多くあります。まずは、組織として改善したい項目を絞ってシンプルな機能だけを使って運用することから初めてみるのも良いでしょう。
入力方法にも慣れながら、少しづつ組織にSFAを浸透させていくこともおすすめです。
SFAにおける分析は、集めたデータから課題・次のアクションを見つけるためにあります。しかし、実際に使う側にデータ分析の基本知識がなければ分析を行うこともできません。
主に以下の基本を抑えることから始めましょう。
入力を100%しなくて良いSFAツールはありませんが、メール自動連携・カレンダー連携などで入力項目を少なくすることは可能です。
実際にSFAを導入する際には、「データ連携」「自動入力」があるかも抑えておくべきでしょう。
ここまで、SFAの概要から導入のメリット・課題などに触れて解説してきました。
しかし、実際にSFAツールを導入しただけでは営業力を強化することはできません。SFAで管理する顧客や売上を持ってくるのは実際の営業パーソンであり、そのためには各営業パーソンのスキルを磨く必要があります。また、導き出された営業の勝ちパターンをより再現性高く行い、最大限に活かすためにもメンバーの育成は必須です。
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