社会・経済・産業などが複雑に絡み合った変化によって、営業もオフラインからオフラインへ変化。
業務で必要な環境もデジタル化が進んでいることで、組織をまとめるマネージャーには「営業DX」への理解が求められる時代になりました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の概要から営業DXの概要、営業DXでできることや具体的な事例を交えて解説します。
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営業DXとは、自社の営業プロセスを現代の顧客の購買行動に合わせて再構築して、デジタルツールなどを活用しながら営業活動の全体最適化を実現することです。
この数年のインターネット・SNSの普及によって顧客の情報の取り方は大きく変化しました。
自身の求める情報を自分からインターネットで検索できたり、コミュニケーションも電話を使わずにチャット形式で完結するようになる等の大きな変化があります。
営業DXを取り入れることで、時代とともに変化する顧客の志向に合わせてアプローチを行うことが可能です。
また、営業組織の目線で言うと、営業トークや顧客情報のデータ化などのナレッジを共有する仕組みを取り入れることで組織全体の能力向上に繋げることができます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、経済産業省の「DX推進ガイドライン」において、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品・サービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。
DXの目的は競合の中での優位性を確立するために変革することです。営業においても、DXは営業組織全体の力を最大限に引き出すために、仕組みも含めて丸ごと変化していくことを意味します。
「デジタル化」と「営業DX」のどちらもデジタルツールを利用する点は一緒ですが、目的が大きく異なります。
「デジタル化」は「量的変化」にフォーカスしており、既存プロセスにデジタルツールを組み込むことで従来の方法より「どの程度生産性が上がったか」がポイントです。
一方でDX化は「質的変化」に焦点を当てています。
顧客動向に合わせて既存の営業プロセスを疑い、プロセスそのものを大きく変えることで時代に取り残されないことを目的として行われるのです。
営業組織において、なぜDXが必要なのかをいくつかの理由に分けて解説します。
顧客の判断基準は経済・社会・情報の変化によって目まぐるしく変化していきます。
無形のサービスには「顧客の要望に早急に対応できるスピード感」なども求められるようになっているのです。
営業スタイルの「オフライン・オフライン」を選択できる柔軟性も、営業組織に求められています。
営業での成績を個人任せにしないためにも、オンラインの営業活動基盤の構築が求められます。
オンライン環境を活用して「顧客情報を蓄積する」「営業で使えるトーク内容を組織で共有する」などを手軽に実現することが可能です。
営業成績が伸びているメンバーが持つコツを組織に浸透させることで、全体の営業力の底上げが期待できます。
「少子高齢化」という大きな問題に直面しており、日本人の若い働き手は物理的に減少していきます。
一人あたりの生産性を向上させながら、無駄なポイントをデジタルツールを用いて把握することで、業務効率の改善と長時間労働の予防に役立てることも可能です。
一部の人間が経験則で判断している業務があると引き継ぎが上手くできないことで失客することも考えられます。
DXによって顧客特有の情報・ノウハウなどがシステムに蓄積されていれば、引き継ぎなどに手間取る必要がありません。組織メンバーが持つ独自のノウハウを「見える化」することで、受注予測の確度も向上します。
これまではマネージャーが組織メンバーひとりひとりを評価するには、営業に同行したり面談を行うなど、わずかな限られた状況だけを見て評価を決めるしかありませんでした。
マネージャーが管理する社員数が増加してしまうと、全員を見る時間がどうしても足りない状態に陥ってしまいます。
DXを導入することで、「オンライン化に伴う移動時間の削減」「抱えている業務が多いメンバーへのフォロー」「対応が遅延している案件のプッシュ」などが管理できるようになるのです。
組織メンバーの行動履歴も蓄積されることで、マネージャーがより多くの評価材料を得ることが可能になり、アドバイスの確度も向上します。
営業DXを通じて具体的にどのようなことができるのでしょうか?
これまでは、「飛び込み営業」「テレアポ」などが主流でした。 しかし、この手法は「断られることを覚悟でとにかく数をこなす」ため成功率が低く、得られる売上に対する人的コストのバランスに問題を抱えていました。
DXを取り入れた場合、リード顧客を獲得するために「オウンドメディア」を活用します。オウンドメディアは自社でサイトを運営して、「サービスの紹介」「有益なコンテンツの発信」を行うことで、どのような課題を持ってサイトにアクセスしてくるのかを分析することが可能です。
問い合わせフォームを用意することで、効果的なリード顧客獲得にも繋がります。
顧客の育成は「リードナーチャリング」と呼ばれており、見込み顧客に対して有益な情報を提供することで、購買意欲を高めます。
顧客がどのような状態にあって、何を望んでいるかを認知する必要があり、マーケティングオートメーションツールを利用することで顧客が望んでいるものを分析することが可能になります。
営業活動を行う上で、「顧客情報」「案件進捗情報」「成約情報」「商談履歴」などの情報を有効活用しなければ、競合との競争に勝つことはできません。
営業DXを取り入れて、営業に関する全ての情報を組織で一元管理して、いつでも確認できるなどの仕組みが必要です。
営業活動がオンラインに移行すると、組織メンバーがどの場所にいても仕事ができるようになります。
そのため組織全体で営業力を上げるための研修等も必然的にオンライン化が求められるでしょう。
オンライン上で営業力を強化するカリキュラムを受講できる仕組みも、組織を育てるために必要です。
営業DXについて説明してきましたが、具体的な事例がないとイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか?
営業DXを導入して一定の成果を出している企業の事例を取り上げて解説します。
DX導入によって営業の役割を見直し、顧客とともにビジネス創出を行う部門「ビジネスプロデューサー」職を導入しました。ビジネスツールを用いて顧客情報を集約し、商談活動・社内調整を管理する「インサイドセールス部門」を立ち上げたことで、営業職の業務負担軽減に成功しています。
NTT東日本もインサイドセールス部門を発足。データを元に見込み客の状況を見極め、適切なアプローチを仕掛けたことで、見込み客の獲得数10倍、受注額を34倍に伸ばしました。大きな成果を出すためには「細かな数値の分析」「スタッフの教育」などが必要です。
テスラは2019年に店舗を閉鎖し、オンライン販売へ移行しました。
オンライン販売で試乗ができないというデメリットは、「購入7日以内、または走行距離1,000マイル(1,600Km)以内であれば全額返金」を可能にしたことでカバー。Webサイトへの投資も行い、顧客がオンラインでも車を選びやすい表示を徹底的に工夫しました。
人的コストを大幅にカットして、話題性を集め成長を続けています。
組織内に上手く浸透すれば大きなメリットを生み出す営業DXですが、導入してから組織に浸透するまでに大きな課題があります。
営業DXの推進によって作業プロセスが大幅に変化することで、効率化を目的として導入したビジネスツールが使いこなせないケースもあるでしょう。
時間の経過とともに作業プロセスには慣れていきますが、導入初期は組織内でシステムツールの使い方を共有する機会などを定期的に設ける必要があります。
今まで全ての業務をアナログで行なってきた営業組織の場合は、効率化と言ってもどこから手を加えるべきかが分からない場合もあります。
「対顧客」に関連するデジタル化を推進する前に、組織内の生産性を向上させるDXから手を加えて、DXに少しづつ慣れていくアプローチで進めるのもおすすめです。
「営業サプリ」は、組織の営業力を向上させるオンラインで学ぶコースを多く揃えています。しかも専門コーチがマンツーマンで指導する仕組みであり、実践的なスキルが身につくのです。
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文:Yahata Katsutoshi