企業が将来にわたって成長を持続するには、営業力の強化が必要不可欠と言われます。「セールスイネーブルメント」というキーワードが注目を集めつつあることもあり、その機運は更に高まっているといえるでしょう。
営業力強化の施策を練るには、まず「営業力」が何を指すのかを理解し、顧客や相手に対してどのような価値を提供できる能力・スキルなのかを明確にする必要があります。本記事では、営業力とは何かを具体的に説明した上で、企業や人が営業活動を通じて顧客に価値を届けるために必要なスキルや方法、直面しやすい課題とその乗り越え方を解説します。
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「営業力」とはひと言で言えば「売る力」ですが、それだけでは不十分です。営業力とは、商品やサービスの価値を相手に正しく伝え、顧客の課題を解決しながら信頼を築く総合的な力といえます。
営業力には、「組織の営業力」と「営業パーソン個人の営業力」の2つの観点があります。
営業パーソン個人の営業力とは、顧客に対して自社の商品やサービスの魅力を伝え、信頼を得ながら契約を締結するための能力・スキル、そしてそれらを高め続ける意識や学習姿勢を含む概念です。
個々の営業パーソンの営業力が高まれば、顧客満足度が向上し、結果として企業の売上や利益の拡大にもつながります。
一方で、組織の営業力とは、チーム全体や企業全体で営業活動を効果的に行う力を意味します。これは単に個人の能力の集合ではなく、戦略・プロセス・ナレッジ・ツールなどが一体となって成果を生み出す仕組みのことです。
組織の営業力を高めることで競争力が強化され、持続的な成長が可能になります。
本記事では個人の営業力を中心に解説します。組織の営業力についての記事はこちら。
営業力は、ひとつのスキルや行動だけで成り立つものではありません。以下の5つの要素が組み合わさることで、真に「顧客に選ばれる営業パーソン」となれます。
モノやサービスを売るためには、それが顧客企業の悩みや課題をどう解決するのか、どのようなメリットをもたらすのかを伝える必要があります。そのためには、顧客の業界事情や市場の動向など、関連する情報を多角的に集め、分析するスキルが求められます。こうした力を備えた営業パーソンは、顧客から信頼される存在となり、提案内容にも具体性や説得力が生まれ、商談もスムーズに進むようになります。
営業は「話し上手より聞き上手がよい」とよく言われます。ビジネスにおける聞き上手とは、相手がどのような人物なのか、何を必要としているのかを引き出す質問スキルと、話を的確に受け止める理解能力を持つ人のことを指します。
顧客との対話では、相手の言葉にしっかり耳を傾け、背景にある課題や意図を汲み取ることが重要です。そうした丁寧なヒアリングによって、最適な提案への道筋が見えてきます。
コミュニケーション力というと、話す力をイメージされる方も多いですが、営業においては顧客や相手に「伝わる」力がより重要です。つまり、話の内容が商品やサービスの理解につながるように構成され、相手の思考や立場に配慮されている必要があります。
たとえば、業界特有の専門用語をそのまま使ってしまうと、顧客にとって理解の妨げになります。そこで重要なのは、相手に合わせた言い換え、具体的なユースケースや導入事例の紹介、ノンバーバルも含めた伝え方の工夫です。顧客視点に立ち、相手が自然にイメージできるように情報を届けることで、信頼や共感を得やすくなります。
ヒアリングや対話を通じて顧客の状況を把握したあとは、それに対応する解決策を提示する必要があります。ここで求められるのが課題解決力です。顧客のニーズに合った商品やサービスの組み合わせを考える、導入後の効果をイメージしてもらうなど、的確な提案をするには総合的なスキルと柔軟な発想が求められます。
また、企業の予算やスケジュールといった制約条件を踏まえて提案することで、より現実的かつ実行可能な方法を示すことができます。こうした視点に立てる営業パーソンは、顧客から信頼され、長期的な関係構築にもつながっていきます。
< 意外と見落とされがちですが、営業の現場では人としてのふるまいや相手への敬意が信頼を生む大きな要素となります。
身だしなみや挨拶、時間を守るといった基本的なマナーは、どの企業においても評価の対象となります。これらを怠ると、どれほど素晴らしいスキルや知識を持っていても、顧客からの信頼は得られません。
営業パーソンは企業の「顔」です。だからこそ、自分自身の言動が顧客にどう映っているかを常に意識し、基本を徹底することがプロフェッショナルとしての第一歩となります。
成果を出し続ける営業パーソンには、営業に必要なスキルや能力だけでなく、物事の捉え方や行動の習慣といった「人としての資質」にも共通点が見られます。ここでは、営業力の高い人材に多く見られる代表的な特徴を、顧客対応や課題へのアプローチ、日々の行動の観点からご紹介します。
営業力のある人は、目の前の商談だけでなく、顧客のビジネス全体や置かれた状況まで含めて理解しようとします。単に「この商品を売りたい」という視点ではなく、「顧客が抱える根本的な課題は何か?」「この企業が本当に求めている成果は何か?」といった観点から提案を組み立てていきます。表面的な要望を鵜呑みにせず、情報を集めて深く掘り下げることで、本質に迫る解決策を見出せるのがこのタイプの人です。だからこそ、納得感のある提案ができ、長期的な信頼構築にもつながります。
優れた営業パーソンは、自分の話を一方的にするのではなく、まず相手の話をしっかりと聞くことに重きを置いています。ヒアリングの際には、顧客の言葉の奥にある感情やニーズを捉えるために、丁寧に情報を引き出していきます。質問の内容や順序、雰囲気のつくり方にも配慮し、「相手が安心して話せる場」をデザインするのが上手です。こうした会話設計の能力は、顧客の課題を的確に把握し、効果的な提案につなげるための重要なスキルのひとつです。
営業で成果を出す人は、特別な才能よりも「継続的な努力」や「改善の習慣」に強みがあります。たとえば、商談後には必ず振り返りを行い、得られた情報をもとに自分の対応方法を見直す。提案がうまくいった理由、うまくいかなかった要因を分析し、次の行動に生かす。このように、小さなサイクルを回し続けることが、確かな営業スキルの定着と能力の向上につながります。また、うまくいかないことがあっても「相手」や「環境」のせいにせず、自らのやり方を変える柔軟さと責任感を持つ姿勢も大きな特徴です。
営業力は先天的な資質だけでなく、日々の取り組みと学びによって誰でも高めていける能力です。顧客の信頼を得て、成果を上げ続ける営業パーソンになるために、ここでは実践的に役立つ3つの方法をご紹介します。
まずは営業活動に必要なスキルやノウハウが型化・標準化された資料やツールから、体系的に学習することがスタート地点です。
とくに、実績ある企業がまとめた営業プロセスや提案の構成、顧客の心を動かすトーク例などを学ぶことで、成功の再現性が高まります。動画教材や商談のロールモデルを見ることで、言葉の選び方や相手との間の取り方など、テキストでは得にくい感覚も身につきます。
インプットだけではなく、学んだ内容を実践に落とし込むことが重要です。そこで有効なのがロープレです。実際の顧客とのやり取りを想定し、商品説明やヒアリング、課題整理といった一連の流れを反復練習することで、知識がスキルへと変わっていきます。
ある程度スムーズにできるようになったら、上司や先輩などのフィードバックを受けながら、より実践に近い場面での訓練にステップアップするのが効果的です。
営業活動は常に相手があって成り立つものです。自分では気づかない癖や伝え方の弱点を把握するためには、第三者からのフィードバックが欠かせません。
とくに経験豊富な人からの指摘は、商談での改善点や情報の伝え方、顧客が抱える本当の課題への気づきなど、多くの学びをもたらしてくれます。企業として営業力を底上げするためにも、フィードバックを日常的に取り入れる文化づくりが求められます。
営業力は、生まれつきの才能ではなく、正しい方法で鍛え続けることで誰でも高めていくことができます。顧客理解、提案スキル、行動習慣といった要素を意識的に磨くことで、着実に成果へとつながります。
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