顧客が結論を出せない理由を明確にする

営業のクロージングで発注書がもらえない理由を探り出す方法とは?

以前、クロージングについて解説した記事の中で、「今日、発注書下さい」と言える理由を準備する重要性を説いたが、そもそも、本気でその日に発注書をもらおうとして「今日、発注書下さい」と迫っているわけではない。知りたいのは、今日発注書を出せない理由のほうだ。
結論を迫るからこそ、結論が出せない理由が明確にされ、その理由を1つひとつ潰していくことによって受注確率が50%、70%、90%と一歩ずつ高まっていくからだ。
この技が使えない営業パーソンの業績は、残念ながら平均を超えることはない。そうならないよう今回は売れる営業のクロージングの機微を紹介していく。

営業のクロージングで発注書がもらえない理由を探り出す方法とは?

発注書を出せない理由を明確にするコミュニケーション

例えば、私が某IT企業の営業パーソンで、A社の中西部長に5,300万円の提案を行った後のクロージングの場面。

「中西部長、手前勝手な理由で恐縮なのですが、ご存知のように要員不足が深刻でして、もし本日、部長の方から内示という形で意思表示が頂けますと、社に戻って、すぐにエース級のPM(プロジェクトマネージャー)からすべての要員が確保できそうなのですが…。もちろん、正式な発注書はご稟議が下りた際にいただくとして、本日、内示という形で…」
といった流れで、結論を促したい。

これはあくまで鎌をかけるためのトークで、本気で発注書をもらおうとしているわけではない。私の最後のフレーズ「内示という形で…」を受けて、中西部長はきっとこんな風に返答するだろう。
「大塚さん、そこまで言われたら、こちらも言わせてもらうけど、うち(自社)のこの案件の予算、5,000万円より少ないんだよね…。」

実は、このやり取りこそが営業の機微で、5,300万円の提案を出し、「それではよい結果をお待ちしています。」とか「では、また仕事をご一緒させていただくのを楽しみにしています。」などとスマートに帰ってしまうと、「予算が5,000万円より少ない」という最も重要な情報に気づけないまま、失注してしまう可能性が高い。
「今日、内示を下さい」と迫れたからこそ、“5,300万円で注文を出すことはなく、予算は5,000万円より少ない”という貴重な情報を入手することができたのだ。
これが発注書を出せない明確な理由になる。発注する側が、どこに発注するべきか、決め手に欠けて迷っている場合などは、こうしたクロージングができる営業の受注率が最も高い。

顧客が発注書(結論)を出せない理由を明確にする

発注書を出せない理由が聞けたら、その先を読む

さて、重要なのはこれからだ。ここで5,000万円を切るような値引きをしようとしても、今度は自社内の上司や構築部門との調整を経なければならないし、単純値引きでは営業パーソンとしての能力を問われてしまうことになる。
子供の使いにならないためには、「うち(自社)と致しましても、ギリギリの数字をお出ししているので、単純にこのまま5,000万円を切る云々といった社内調整は、正直難しいので…、部長、この条件をこう変えていただき、この仕様のこの部分を他のモノに換える、ということであれば、コストダウンの可能性は残されていると思うのですが、そうした条件の変更は可能でしょうか…」といった条件闘争に持ち込むのが売れる営業の定番になる。

もうお気づきだと思うが、この方法だと5,300万円の後に最低もう1回、別な提案と金額を提示するチャンスが増えるのだ。しかも、受注のために何が必要なのかのヒント付きで。
1回のチャンスと2回以上のチャンス。確率が高いのは後者になるのは決まりきった話だ。

クロージングの段階で顧客が発注書を出せない理由というのは、金額に関することが最も多いが、他にもこのようなケースが定番だ。

  • 費用対効果の点で決裁者を納得させられていない
  • 機能を充実させコストが高いM社と機能絞ってコストを下げたK社で決めかねている
  • ユーザー部門と購買部門で意見が割れている
  • 新しいソリューションなので、もう少し導入事例が増えてからでないと判断できない
  • 役員の中に時期尚早という声がある

とにかく、何が発注書に至らない理由なのかをコミュニケーションの中で探りだし、その課題を詰めていくというクロージングの王道をマスターして欲しい。

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この連載の著者

エマメイ先生(大塚 寿)

大塚寿 顔写真

1986年、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。サンダーバード国際経営大学院でMBA取得後、営業研修を展開するエマメイコーポレーションを創業、現在に至る。著書に 『〈営業サプリ式〉大塚寿の「売れる営業力」養成講座(日本実業出版社)』『自分で考えて動く部下が育つすごい質問30(青春出版社)』、『50歳からは、「これ」しかやらない(青春出版社)』など。

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