ヒアリング 概論
ヒアリングは営業の受注可否を大きく左右するもの。営業ヒアリング力を向上させるためには、ヒアリングシートで項目を押さえておくこと、そして売れる商談構成を抑えておくが重要です。この記事では、営業がヒアリング段階で競合に負けないためのコミュニケーションのコツを解説します。
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どの業界の営業であっても、そのプロセスは、商談準備→顧客把握→ヒアリング→提案企画立案・見積→プレゼン→クロージング→受注→納品→アフターフォローとなるのが基本だ。
この流れの中で最も重要なのがヒアリングで、受注できるか否かの50%以上がヒアリングにかかっていると言ってもいいだろう。
ヒアリングの段階でどれだけ相手の状況や課題、期待、希望といったことを広く、深く把握できたかで、その後の案件化率、受注率が決まってしまうのだが、ヒアリングが浅かったり、相手の真意に到達できずにいると、そこで「足切り」となりそこから先に進むことができなくなる。
つまり、営業力を高めたいなら、まずはヒアリング力アップに集中するのがポイントだ。
国内市場の拡大が望めない成熟期の日本は、完全な買い手市場になり、売り手間の競争はますます激しくなっている。
しかも、各社似たり寄ったりの機能や品質で、技術による差別化が難しくなって価格勝負の傾向が顕著になっている。そんな中で成果を出している企業の共通点は「営業」による差別化路線を見出したことだ。
いわゆる「かゆい所に手が届く」ような提案、「うちの事情をよく勘案してくれた」提案というのはヒアリング力による差別化戦略の結果だ。
なぜなら顧客は営業パーソンが尋ねたことについて、すべて回答してくれるわけではない。
顧客は目の前の営業パーソンが自社や自分にとってどの程度、役に立つ人間なのかを値踏みし、「使える営業」なのか「使えない営業」なのか「普通」なのかを判断し、出す情報の質や量をコントロールしている。
その顧客の判断に使われる代表的なものが「ヒアリング」の際のやり取りだ。
例えば、営業パーソンが聞きたいことを一方的に矢継ぎ早に質問すると、顧客は「この人、営業に慣れていないけど大丈夫かなぁ」と怪訝に思い、重要な情報などは話さなくなる。
提案や見積に必要な情報を聞きだすのがヒアリングの目的だが、そこには外してはいけないポイントがあるのだ。
しかし、そのコツを知っていれば、誰でもヒアリング力を高めることができるので、ここでその方法を共有していきたい。
どうしても私達営業パーソンは挨拶→軽い雑談→自社製品やサービスの案内→質疑応答といった流れで商談を進めがちだが、このパターンでも問題ないのは「業界トップ」「商品力がある」「顧客が自社製品についての話を聞きたがってる」場合に限られてしまう。
提案に必要となるヒアリング項目は業界によって若干異なるが、共通するのは質問の仕方がまずいとそれらを聞き出すことができず、案件を前に進めることができなくなってしまう点だ。
そうした最悪のケースを防ぐには、下の流れにするのが賢いテクニックだ。
1)挨拶
↓
2)雑談
↓
3)雑談から相手に役立ちそうな「情報提供」に展開
↓
4)最近感じている課題や現状のヒアリング
↓
5)現状の課題に関し、役に立てそうなことの明示
↓
6)相手の感触の把握
↓
7)サービス・商品の説明、アピール
↓
8)質疑応答
↓
9)次回訪問の約束
各フェーズについてさらに簡単にポイントを解説する。
商談のための場づくり、雰囲気づくりのために
1.相手の喜ぶ話題を振る
2.素朴な疑問を投げかける
3.共通の話題を振る
という「雑談の3原則」を使おう。
本番の商談モードに入ってしまうと、なかなか教えてもらえない相手の真意や先行情報などは、雑談の一環として投げかけてみると有効なヒントが得られることもあるので、雑談の場面を大切に使いたい。
よく手短な天気の話の後に、すぐに営業ツールを開いて自社の製品説明を始める営業パーソンが散見されるが、そうなると最低の案件化率、受注率になってしまうので気をつけたいところだ。
ここで相手に役立ちそうな情報が提供できるかで、その後のヒアリングの「量と質」に明暗が分かれる。
相手にしてみれば有益な情報が得られたら、当然その営業パーソンを「使える人間」と判断して、真剣度にスイッチが入るために、コミュニケーションも深いものになっていく。ここが「売れる営業」の機微なので、よく心得て欲しい。
もっと言うと、「役に立つ情報」ではなく、「役に立ちそう」というところがミソで、情報の質に関してはハードルを下げて、持っていける情報を増やすスタンスで構わない。
「いつも情報を持ってきてくれる営業パーソン」というポジションを取りたいのだ。
3)なしで、4)の顧客の課題ヒアリングやそれに対して役に立てそうなことを話さないまま、商品説明をしてしまうと、顧客の方が営業の力量を見透かしてしまって、真剣モードでは対応してくれないので、商品力のある営業以外は注意すべきだ。
ヒアリングの終盤には、5)現状の課題に関し、役に立てそうなことを明示する。ここも「役に立つことの明示」ではなく、「役に立てそうな」レベルで可能性を広げておくのがコツになる。
もちろん、相手のリアクションの把握は必須で、6)相手の感触を把握した上でまんざらでもないようであれば、続いていよいよ7)自社の製品やサービスの説明、アピールに入る。
ここまでの段取りを踏めば、相手と営業パーソンはシンクロし、全く関心がない場合以外は相手から諸々の質問が出てくる。
この質疑の場面で「コスト」「導入事例」に関する質問が出れば案件化のサインなので、宿題をもらい、次のステップに進むための9)次回訪問の約束で締めくくりたい。
実は売れる営業と売れない営業とのヒアリングの違いは「ほんのちょっとしたこと」に過ぎない。
だが、その小さな違いが100対0、つまり受注と失注の違いを生み出す。
つまり、その小さなコツを知ることが最も努力も労力もかけずに業績を高める王道なので、その方法をここで共有しておきたい。
基本となるものは以下の3点。
つまり「聞く」ために「話す」。そのためには、まず相手の興味、関心にどのように 着火させるかに集中して話したい。
人は自分の関心のない話を真剣に聞こうとはしない。まずは関心を持ってもらうための一番シンプルな方法が「相手側を主語にして話す」ことである。そうすれば条件反射で人はみな耳を傾けるようになる。
ビジュアル、動画を用いる、あるいは事例を話すなど、相手がその商材の特性、魅力、概要をイメージできるような配慮をすることがポイント。
自社商材の紹介には以下の3つのセオリーがあるので、この方法に従うだけで相手には商材の魅力がグッと刺さりやすくなる。
深い人間関係や信頼関係が築けていれば、顧客は営業パーソンが必要とする情報を開示してくれるが、1年目、2年目の営業パーソンや新規顧客の場合は、顧客は簡単に情報を出してはくれない。
では、どのように情報を引き出せばいいのか、効果的な方法はたくさんあるが、ここでは誰でも知っていさえすれえば、顕在ニーズ、潜在ニーズを把握しやすくなる5つの方法を紹介しておく。
コツとしては上記のどれでもいいので、「これならできそうな」と思えるものから始めてみることだ。それで手応えを感じられれば、定番化し、逆に手応えがないなら微修正しながら、試行錯誤して欲しい。
この連載でも詳説するが、そもそも日本語というのは「超文脈依存言語」で相手の言っている「言葉」だけでなく、その時の表情、言い方、その場に漂う空気(雰囲気)などを総合的に判断して意思疎通する言語だ。
つまりは相手の言ったことだけを鵜呑みにせず、必ずその「背景」、どういう背景からそうなったのかを深堀りしてヒアリングするのが受注するためのポイントになる。
ヒアリング時に押さえておくべきポイントは業界によって若干異なるものの、基本となるのは次の通りだ。ヒアリングシートを作成する際は、忘れずに盛り込みたい。
更に自社商材の紹介をしたなら、以下2点も押さえておきたい。
営業研修などで受講者から「ヒアリングができない」「ヒアリングが下手」「ヒアリングが難しい」とよく相談されるが、実はヒアリングは正しい練習、トレーニングで簡単に上達するものだ。
結局のところ、ヒアリングには「何を聞くか」「どのように聞くか」 の2つしかない。
しかも「何を聞くか」については“提案のために何を聞かなければならないか”はあらかじめ決まっているので、新人や2年目辺りまではモレがないようヒアリングシートを準備しておくという手もある。
「ヒアリングが下手」な人がつまずくのは「どのように聞くか」が分からないか、その聞き方のバリエーションが少ないせいだ。
しかし、「質問力」は、営業に支障の出ない平均的なレベルまでは誰でも短期間に到達できる。
そのための具体的な方法は;
社内でヒアリングが上手な先輩や上司に同行させてもらい、そのヒアリングに実際に触れることからスタートしたい。できるだけ多くの人のヒアリングに触れることが望ましい。
新人にはビデオ動画で売れている先輩のヒアリングを完コピさせてしまう手もある。
上司や先輩に顧客役を演じてもらい、日々の営業と同じ設定でヒアリングを行い、その後に「よかった点」「改善するともっとよくなる点」をレビュー、フィードバックしてもらう方法になる。
スマホなどで動画を録画し、自己レビューすると更に効果的だ。
ちなみにこれを1日2回、3ヵ月も繰り返せば平均的レベルは確実に超えられる。
お気づきかもしれないが、ヒアリング力を高めるのはスポーツや習い事に近い。
みなさんが部活や習い事、趣味でやってきた野球、テニス、ピアノ、ゴルフといったことにはみな基本となるフォームや型があって、先輩や先生の見本や手本をたよりに繰り返し反復練習をして、次第に上達していったはずだ。
ヒアリングもまったくそれらと同じなので、是非、正しいフォームを身に着けて、次の段階に進んで欲しい。この記事を読んでいるということは、あなたには、それができる!
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ここで述べているノウハウやスキルは、読んだだけでも充分勉強になります。しかし、これだけでできるようになるわけではありません。実際の営業場面で「できる」ようになるためには『実践とフィードバック』が必要になります。
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