プレゼンテーション 概論
プレゼンテーションは単なる情報共有の場ではなく、相手に行動を促し、信頼を築く重要な手段です。本記事では、聞き手に響くプレゼンを行うための基本から応用まで、構成・資料・話し方の3つの観点で具体的なポイントを解説します。
プレゼンテーションとは、情報を共有し、相手の理解や共感を得るためのコミュニケーション手法です。ビジネスや教育、イベントなどさまざまな場面で活用され、効果的に自分の考えを伝える力が求められます。
「プレゼンテーション」は、英語の”presentation”に由来し、「贈り物」や「提示すること」を意味します。現代では、情報を視覚的・言葉で示す行為を指し、資料や話術を組み合わせて相手に伝える行動を表します。
「発表」は情報を一方向に伝える行為であるのに対し、「プレゼンテーション」は双方向のコミュニケーションを重視します。
プレゼンでは、聞き手の関心や反応を意識し、共感や行動を促すことが目的です。この違いにより、プレゼンはストーリー性やインパクトを重視した準備が求められます。
顧客から評価される「良い」プレゼンテーションは、次の3パターンです。
プレゼンテーションは、単に情報を伝えるだけでなく、明確な目的に基づいてメッセージを発信することが重要です。聞き手に「何を理解してほしいのか」「どんな行動を促したいのか」を明確に設定することで、伝えたい内容を無駄なく絞り込むことができます。目的が不明確だと、話が散漫になり、聞き手に意図が伝わらないリスクが高まります。具体的なゴールを設定し、それに沿った内容設計が成功の鍵です。
良いプレゼンは、聞き手の関心や課題に寄り添った内容で構成されています。聞き手が求めている情報や解決策を事前にリサーチし、そのニーズを満たす要素を盛り込むことが大切です。例えば、業界特有の課題や具体的な事例を取り上げることで、相手の共感を得やすくなります。
自分本位ではなく、聞き手目線に立った内容設計が、相手に刺さるプレゼンを実現します。
データや事実を基にした論理的な説明はプレゼンテーションの土台ですが、それだけでは心に響きません。感情に訴えるエピソードやビジュアルを効果的に組み合わせることで、聞き手の記憶に残りやすいプレゼンテーションを作ることができます。例えば、成功事例を感動的なストーリーとして語ることで、相手を引き込み、行動を促す力が生まれます。
論理と感情のバランスを意識することが、聞き手を動かす秘訣です。
営業のプレゼンテーションにおいては、「顧客の課題解決」そして「パートナーとして選ばれる」という視点で以下の3点も押さえておきたいところです。
プレゼンテーションというのは、確かに自社商材や提案を説明、アピールする場でもあるのだが、聞き手が聞きたいのは商材のことより、自分が直面している課題や問題の解決策です。「解決策に焦点を当て、その為に自社商材やその提案がどう役に立つのかという切り口で表現しないと聞き手には刺さらない」、という基本は押さえておきましょう。
実際の営業場面では他社と違った「+α」や「何か」異なる切り口があるとただでさえ聞き手の目を引きます。ちょっとだけでも任せてみたくなるような「新しさ」や「魅力」、「可能性」といったものがあると、競合から頭ひとつリードすることができるでしょう。
プレゼンテーションというのは、聞き手の気持ちを動かすことです。そういう意味でプレゼンテーションは映画やドラマ、小説やゲームと同じで、登場人物であるキャラクターや世界観、ストーリー展開で面白さが決まります。
プレゼンテーションで言えばキャラクターは商材や提案内容をいかに立たせるか、世界観というのはプレゼンテーションの方向性、そしてストーリー展開はプレゼンテーション構成。この3点を意識していきましょう。
プレゼンテーションの構成は結論先行型が望ましいですが、大体以下の流れとなります。
現状を正確に把握し、聞き手と認識を共有する部分です。データや事実を基に現在の状況を明確に伝えます。
現状の中で解決すべき課題を特定し、その原因や背景を論理的に説明します。課題解決の必要性を認識させます。
提案の意図や解決すべき目標を示します。聞き手が目指すべき成果や意義を具体的に描き、共感を得ることを目指します。
課題解決に向けた具体的な手段を提示します。論理的かつ実現可能な方法を示し、納得感を高めることが重要です。
提案がもたらす効果を定量的・定性的に説明します。コスト削減や売上増加など、具体的な数字を提示することで信頼性を向上させます。
実際の成功例を挙げることで、提案が現実的で有効であることを証明します。聞き手に安心感と信頼を与える効果があります。
実施にかかる期間やコストを明確に示します。具体的な計画を共有することで、提案の実現性を強調します。
提案の優位性を示すために競合他社や他案との違いを整理します。表やグラフを用いると、視覚的に分かりやすくなります。
こうしたプレゼンテーションの流れを更に補強してインパクトを高めるフレームワークとして以下の3つも是非参考にしてください。
「AIDAの法則」というのはAttention(注意喚起)の頭文字「A」、Interest(興味・関心の喚起)の「I」、Desire(欲求の喚起)の「D」、Action(行動喚起)の「A」をつなげた呼び名で、1920年代にアメリカの広告業界、営業の世界に登場した概念です。
つまり、プレゼンテーションのどの部分で相手の注意喚起を促し、次にどのようにして注意を興味・関心に引き上げるかを考え、更に「導入してみたい」という気持ちにエスカレーションさせるためにはどうしたらいいかという工夫を、プレゼンテーションの構成、使用するスライド作りやビジュアル選びに反映させます。
細かな工夫ではあるが、プレゼンテーションの要点は「3つにまとめる」と相手の記憶や印象に残りやすいと言われています。ポイントとなる点は3つにまとめて説明をしていきましょう。
「つかみ」は先ほど紹介した「AIDAの法則」のAttention(注意喚起)です。プレゼンテーションの導入部に、ガッチリ聞き手のハートをつかむ仕掛けを施すと、それに続く部分も前向きに聞いてくれるようになるため、成果に繋がりやすくなります。
「オチ(落とし所)」はゴールとなります。相手に印象づけることをゴールとするのか、概算見積を提示することを求められることをゴールとするのか、受注することをゴールとするのかでプレゼンテーションの構成は変わってくるので、「つかみ」と「オチ(落と所)」をセットで考えるとその間のプレゼンテーション構成が作りやすくなります。
プレゼンテーションを行う際には、スライド資料を使うことも多いはずです。ここではプレゼンテーション資料作成の基本を5つ紹介していきます。
テキストは最小限に抑え、グラフやイラスト、チャート、写真などのビジュアルを活用すると分かりやすくなります。
最近ではITツールの進化により、動画も簡単に使用できるようになりました。特に臨場感を高めたい場合に効果的です。
データを用いた定量的な根拠を示すことで、プレゼンテーションの説得力を大幅に向上させます。数字的な証拠を必ず盛り込むことが重要です。
また、定性的な内容でも第三者の評価を通じて伝えると効果的です。
自社の商材をどれほど優れていると述べても「手前味噌」になりがちです。それを回避するには、「〇〇社での導入後、業務効率が5%以上向上した」というような実績を具体的に示すのが有効です。
大小に関わらず具体的な事例を活用することで、提案内容のメリットや強みがより明確になります。これにより、聞き手は具体的なイメージを持ちやすくなり、共感やリアル感が生まれます。
また、直接関係のある事例だけでなく、「こんな実績もあります」といった補足的な事例を提示することで、提案以上の成果を生む布石を打つことも可能です。
「プレゼンテーション資料の適切なページ数」に関する質問はよく受けますが、これは相手の役職に応じて決定するのが効果的です。
経営者や役員向けには1ページにまとめ、費用対効果や数字的根拠を含むことが基本です。
部長クラスの場合、3ページ程度が目安となります。
担当者向けの場合、ページ数は無制限ですが、上司に質問された際に回答できる情報を含むことが重要です。そのため、必要に応じた内容量を心がけましょう。
細部への配慮がプレゼンテーション資料の質を大きく左右します。以下のようなポイントを意識すると評価につながります。
ここまでプレゼンテーション準備について解説してきましたが、プレゼンテーション前には、聞き手(営業では顧客)の特性をつかんだ上でプレゼンテーションの準備をすることと、話し手(営業においては自社・自分)の立ち位置を押さえておくこと、この2点は押さえておきましょう。
なぜなら、聞き手の特性や自分の立ち位置を把握しないでプレゼンテーションするということは、的はずれなプレゼンテーションになってしまう可能性があるためです。
具体的にはそれぞれ以下の点を押さえておきましょう
話し手の立ち位置については以下の6つのケースに分類して対応すると結果に結びつきやすくなります。
プレゼンテーション内容や資料の準備ができたら、次はプレゼンテーションの本番、実際に話す際のコツを解説します。
プレゼンテーションの話し方で意識すべき基本は、「ゆっくりめ、やや大きめ」に話し始めることです。これだけで聞き手への印象が大きく変わります。
また、話の区切りを強調し、間を意識して進めると、聞き手にとって理解しやすくなります。
さらに、重要なポイントではスピードを落とし、強調することで、話にメリハリを加えることが効果的です。
プレゼンテーション中は資料を見続けるのではなく、聞き手の表情を確認しながら進めることが大切です。
相手が複数の場合は、キーパーソンに視線を送るだけでなく、他の聞き手にも目を配るようにしましょう。
こちら側の表情も硬くなりすぎないよう、軽い笑顔を保つことで、リラックスした雰囲気を作り出せます。
プレゼンテーション中、相手が資料をめくったり、集中していない様子が見られる場合、そのまま進めても効果は期待できません。
そんな時はプレゼンテーションを一時中断し、相手の意見や質問を求めるのが有効です。これにより、相手の関心やニーズを把握し、プレゼンテーションを軌道修正するチャンスが生まれます。
認識のズレが判明した場合、その場で対応できるなら、該当箇所を使ってプレゼンテーションを完結させましょう。
一方、準備した資料で対応しきれない場合は、次のプレゼンテーションの日程を設定し、相手のニーズに完全に応える準備を整えて臨むのがベストな選択です。
プレゼンテーションスキルを磨くには、継続的な学びと練習が欠かせません。ここでは、実践的な方法を4つ紹介します。
プレゼンテーションの成否は準備で決まります。まずは内容を完全に把握し、何度も練習して自信をつけましょう。
本番さながらの練習を行うことで、自分の言葉に慣れるだけでなく、時間配分やスムーズな進行も身につきます。特に声の抑揚や間の取り方など、話し方に磨きをかけることで、聞き手に与える印象が大きく向上します。
自分の話し方を客観的に見ることで、改善ポイントが明確になります。録音や録画を活用し、自分の声のトーンやスピード、ジェスチャーなどをチェックしましょう。
最初は違和感があるかもしれませんが、繰り返すうちに癖を修正でき、聞き手に伝わりやすい話し方が身につきます。この自己分析は、スキル向上の第一歩です。
第三者からのフィードバックは、自分では気づけない課題を教えてくれます。信頼できる同僚や上司に練習を見てもらい、率直な意見をもらいましょう。
聞き手の視点からの指摘は、プレゼンテーションの完成度を高める貴重なヒントとなります。また、フィードバックを取り入れる姿勢自体が、さらなる成長につながります。
優れたプレゼンを観察することも、スキル向上には効果的です。プロのスピーカーや成功したプレゼン動画を見て、話し方や構成、聞き手を引き込む工夫を学びましょう。模倣するところから始めて、自分なりのスタイルを確立するのがおすすめです。観察と実践を繰り返すことで、着実にレベルアップできます。
プレゼンテーションスキルを高めるには、準備、練習、分析、そして学びが鍵となります。本記事で紹介した具体的なコツを参考に、自身の課題を明確にし、実践を通じて改善を重ねることで、より効果的なプレゼンを実現しましょう。
プレゼンテーションスキルを高めるうえでは、外部の研修に参加することも有効な手段です。
伴走型オンライン営業研修「営業サプリ」プレゼンテーションコースでは、プレゼンテーションのスキルやテクニックを学べることはもちろん、徹底的に実践演習とフィードバックを繰り返すことで、着実にスキルを身につけることができます。少しでも興味を持たれましたらまずは資料をダウンロードしてご覧ください。
この記事の内容を含めた、プレゼンテーションのノウハウをeBookにまとめて無料配布しています。簡単なフォームに入力するだけでダウンロードしていただけます。ぜひご覧ください。
ここで述べているノウハウやスキルは、読んだだけでも充分勉強になります。しかし、これだけでできるようになるわけではありません。実際の営業場面で「できる」ようになるためには『実践とフィードバック』が必要になります。
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