プレゼンテーション 概論

営業で評価されるプレゼンの方法とは?「構成・資料・話し方」の鉄則

いいプレゼンテーションとは?

顧客から評価される“いいプレゼン”というのは、だいたい次の3パターンになる。

1)課題解決や問題解決のための「名案」や「兆し」、「ヒント」がある

顧客やクライアントの側から見た「いいプレゼン」の王道がこのパターンになり、最も受注率の高いプレゼンになるので、この鉄則を絶対に守って欲しい。

プレゼンというのは、確かに自社商材や提案を説明、アピールする場でもあるのだが、顧客が聞きたいのは商材のことより、自社が直面している課題や問題の解決策の方なのだ。

だから、「解決策に焦点を当て、その為に自社商材やその提案がどう役に立つのかという切り口で表現しないと顧客には刺さらない」、という基本から外れてはならない。

2)任せてみたくなる「+α」もしくは「何か」がある

日本企業における実際の営業場面では、各社、機能も品質も価格も納期もほとんど同じ位で、差別化のポイントが打ち出しにくくなって久しい。
そういう背景があるので、他社と違った「+α」や「何か」異なる切り口があるとただでさえ顧客の目を引く。

そこに、ちょっとだけでも任せてみたくなるような「新しさ」や「魅力」、「可能性」といったものがあると、競合から頭ひとつリードできるので、その追求をルーティーンワークにして欲しい。

3)キャラクター、世界観(設定)、ストーリーの3拍子が揃っている

プレゼンというのは、顧客の気持ちを動かすことである。広告業界などではそれをインサイトというキーワードを用いて「顧客が思わず買いたくなるココロのスイッチ」と表現してきた。

そういう意味でプレゼンは映画やドラマ、小説やゲームと同じで、キャラクター、世界観、ストーリーの3要素で構成されると考えると分かりやすい。
映画でもゲームでも、登場人物であるキャラクター、その場面設定となる世界観、そしてストーリー展開で面白さが決まるが、プレゼンも同じだ。

プレゼンで言えばキャラクターは商材や提案内容であってもいいし、自社あるいはプレゼンしている自分であってもいいが、いかにそのキャラを立たせるかがポイントになる。

世界観というのはプレゼンの設定というかポジションで、分かりやすいところでは、差別化志向(競合との差別化ポイントを軸にする)、価格志向(価格の優位性を軸にする)、顧客志向(顧客に寄り添うスタンスを軸にする)のいずれかの立ち位置でプレゼンするかというようなことだ。

あるいは、パートナー目線で「一緒に歩みましょう」的なのか、先生目線で「御社の問題を解決するために、こうサポートしていきます」と顧客をリードするスタンスなのか、逆にお願い目線で、「こんなに価格を下げましたので、是非、採用して下さい」という立ち位置でも構わない。

そしてストーリー展開はプレゼン構成のことで、どういう順番で何をどの資料やスライドで伝えるかかという「プレゼンの流れ」になる。

この3要素の内、ストーリーについては誰もが工夫するところだが、キャラクターや世界観に関するところまで視野が及ぶとプレゼンのレベルが1ステップ、2ステップ上がってインパクトが強く、顧客の印象に残るだけでなく、提案を採用したくなるプレゼンになる。

プレゼン前に押さえておきたいポイント

プレゼン前に押さえておきたいポイントは2つある。顧客の特性をつかんだ上でプレゼンの準備をすることと、自社の立ち位置を押さえておくことだ。

なぜなら、顧客の特性を把握しないでプレゼンするということは、目隠ししてボールを投げるに等しく、的に当たるかどうかは運次第になってしまう。

自社の立ち位置についても同様で、新規で人間関係のない企業に対し、身内扱いされている企業に対するようなプレゼンを行っては逆効果になる可能性がある。

では実際に顧客の特性をつかむには、何をどうすればいいのだろうか。売れる営業パーソンはその際、相手の企業風土、組織風土、歴史、そしてプレゼンに参加する人たちのプロフィールを押さえようと情報収集している。

具体的行動としては次の3点だ。

1)企業としての特性と企業風土、組織風土を把握する

2)社史沿革を味わう

3)参加者のプロフィールを理解する

また、自社の立ち位置というのは以下の6つのケースに分類して対応すると受注率が向上する。

1)相手の興味・関心が強い場合

2)相手の興味・関心が弱い場合

3)「当て馬」っぽい場合

4)過去にトラブルがあった場合

5)相手が忙しい場合

6)ソリの合わない相手の場合

プレゼン構成のコツ

よいプレゼンの構成というのは結論先行型が望ましいが、大体以下の流れになる。

1)現状の整理

2)課題や問題点の抽出(その背景、要因や原因の因果関係)

3)提案の目的

4)解決策・提案

5)解決策・提案がもたらすメリット(定量的な面でも)

6)導入事例、類似事例

7)スケジュール→コスト

8)(場合によって)競合との比較表

こうしたプレゼンの流れを更に補強してインパクトを高める方略として「AIDAの法則」を活かしたい。

「AIDAの法則」というのはAttention(注意喚起)の頭文字「A」、Interest(興味・関心の喚起)の「I」、Desire(欲求の喚起)の「D」、Action(行動喚起)の「A」をつなげた呼び名で、1920年代にアメリカの広告業界、営業の世界に登場した概念である。

つまり、プレゼンのどの部分で相手の注意喚起を促し、次にどのようにして注意を興味・関心に引き上げるかを考え、更に「導入してみたい」という気持ちにエスカレーションさせるためにはどうしたらいいかという工夫を、プレゼンの構成、使用するスライド作りやビジュアル選びに反映させるのだ。

また、細かな工夫として、プレゼンの要点は「3つにまとめる」と相手の記憶や印象に残りやすいので、この「マジカルナンバー3」のセオリーも活かしたい。

次に更に細かなセオリーをプレゼンの各ステップごとに紹介していく。

導入部分

プレゼンというのはある意味「話芸」であるため、技術的には漫才やコントなどの「お笑い」に近い。
つまり、「つかみ」と「オチ(落とし所)」が基本になるという共通点がある。

「つかみ」は先ほど紹介した「AIDAの法則」のAttention(注意喚起)で、プレゼンの導入部に、ガッチリ顧客のハートをつかむ仕掛けを施すと、それに続く部分も前向きに聞いてくれるようになるので当然、受注率があがる。

「つかみ」がプレゼンのスタートなら、「オチ(落とし所)」はゴールとなる。
その「オチ(落とし所)」が提案内容だったり推奨する製品になるわけだが、相手に印象づけることをゴールとするのか、概算見積を提示することを求められることをゴールとするのか、受注することをゴールとするのかでプレゼンの構成は変わってくるので、「つかみ」と「オチ(落と所)」をセットで考えるとその間のプレゼン構成が作りやすくなる。

更に、プレゼンというのは導入部分に惹きつけられるものがないと、その後は、導入部分の印象で、判断されてしまうことが多い。
なので、「前半勝負」を心がけるほうが勝率は著しく高くなるということを肝に銘じて欲しい。

商材紹介・事例紹介

営業パーソンにとってプレゼンのクライマックスは提案内容や自社製品の紹介になるが、ここで気をつけたいポイントが3つある。

まず、商材紹介の目的は、商材を分かりやすく伝えるとか、商材をアピールするとかにせず、「相手に課題解決後の姿をイメージさせる」ということを第一義にすること。
たったこれだけで相手への伝わり方が一気に深くなる。

2つ目は商材や提案のメリットは事例を通して語ること。事例の大小は問わないので、とにかく事例をあげて、その中でメリットや強みを訴求したい。
そうすることによって相手はイメージしやすくなり、リアル感が高まり、時によって共感もするために前に進みやすくなる。

3つ目は商材の魅力は客観的に語ること。つまり別な顧客の目を通した評価で語ること。
それというのも、営業パーソンがいくら自社商材のすばらしさを語っても、それは「手前味噌」になってしまうからだ。

つまり、どこまでいっても「自画自賛」の域を出られないので、説得力には欠けてしまう。
それを解消するのが、「すでに業界トップの〇〇様にはご導入いただいて、業務効率が5%以上高まったと高い評価をいただいております」といった客観評価になる。

プレゼン中

プレゼンを始めたはいいが5~6分経過した時点で、相手がプレゼン資料の先のページをペラペラめくり出し、自分の話に集中していないと思われるケース。
そこまではいかなくても、明らかにプレゼンに「真剣に向き合っていない」という兆しが見えた場面では、そのまま進めても受注には至らない。
その際のお薦めの方法は、いったんプレゼンをそこでストップして、相手の意見を求めること。

そこで、認識のズレがあったとしたら、その場で、アドリブで軌道修正し、手持ちのプレゼン資料で対応できるなら、その該当箇所のページだけを使って、プレゼンを終えるようにしたい。

逆に、その場で判明した真のニーズに対応できる内容がプレゼン資料に盛り込まれていなかったとすれば、その場で次のプレゼンの日程を確約して再プレゼンに臨むのが賢い対処策となる。

プレゼン資料作り方のコツ

ネット時代となりプレゼン資料の進化は目覚ましいものがある。ただし、その作り方の基本は変わっていないので、基本を押さえた上で多いに新しい技法を試していって欲しい。
ここではプレゼン資料作成の基本を5つ紹介する。

1)ビジュアル利用

文字は少なめを意識してグラフ、イラスト、チャート図、写真といったビジュアルを利用したほうが相手には分かりやすくなる。
また、最近はITツールの進化とともに動画も手軽にプレゼンで使用できるようになったので、リアル感を高めたい時には利用したい。

2)アピールポイントはデータで示す

定性的な表現より定量的な表現、つまりはデータで示すことによって説得力が増すので、数字的な根拠は必ずプレゼンの中には盛り込みたい。

3)事例を豊富に

直接関係する事例は必須だが、後のほうにプレゼンに直接関係しなくても「うちは、他にこんなことも手掛けています」ということが分かる事例を網羅的に盛り込んでおくと、その場でクロスセルになったり、後のクロスセル、アップセルへの伏線になる。

4)プレゼン資料のページ数は「1-3-∞の法則」で

プレゼン研修で受講者から、たまに「プレゼン資料の適切なページ数」について質問を受けることがあるので、ここでも共有しておきたい。

基本的にページ数は業界というより、相手の役職によって決めるべきものである。
経営者役員向けには1ページが基本となる。これはA4判でも A3判でも構わないが、必ずそこには費用効果などの数字的根拠を盛り込むのがセオリーだ。
部長クラスには3ページを目途としたい。

そして、担当者になると無制限となる。つまり、ページ数は自由なのだが、目途としてはその担当者が上司である課長や部長から質問を受けた時、その資料を見れば回答できる内容が盛り込まれている量となるので、参考にして欲しい。

5)神は細部に宿る

これは昔から言われていることだが、プレゼン資料は細かいところに気を配れという戒めになる。
例えば、カタカナが好まれる業界、漢字が好まれる官庁などもそうだし、1ページに図版を2つ使用する際の天地、左右の揃え方、色使いをできれば3色に抑える工夫(色が多くなると見にくい)、などがそれだ。

プレゼン時の話し方のコツ

プレゼンの話し方の大原則は、「ゆっくりめ、やや大きめ」に話し始めること。これは最初に意識するだけで随分違うので、そこから始めるといい。

次に話と話の区切りを日常の会話より強めに意識し、そこに間を置く感じで進めると相手には聞きやすくなる。

また、ポイントになる重要な箇所はスピードを落とし、やや強めに話すようなメリハリも加えたい。

アイコンタクトについても資料を見続けずに、相手の表情を確認しながら進めるとよい。
相手が複数の場合はアイコンタクトの中心はキーパーソンになるが、その周りの人たちへも適度に視線を散らしながら、表情を確かめつつ進行することが大事だ。
こちらの表情は硬くなりすぎないように、軽い笑みを浮かべる位が望ましい。

プレゼンスキルを高めるためには

プレゼンスキルを高める方法は、基本的にヒアリングスキル同様、いい見本・手本に触れることとロープレが最も効果的だ。

かつて「プレゼン日本一」と称される人物に2度出会ったことがある。「プレゼン日本一」が2人いることを奇異に思うかもしれないが、時期がずれているためだ。

幸いに一緒に仕事をする機会に恵まれたので、エマメイ先生のプレゼンの基本もそこが源流のように思う。

更にプレゼンを独自にスキルアップする方法として、チャート図、イラスト、グラフといったビジュアルのネタ集めを日常から行い、PC上にネタ帳ホルダーを作成して、必要な時に適切なものを取り出せるようにしておきたい。

プレゼンのコツやセオリーを学べるオンライン研修

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この連載の著者

エマメイ先生(大塚 寿)

1986年、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。サンダーバード国際経営大学院でMBA取得後、営業研修を展開するエマメイコーポレーションを創業、現在に至る。著書に『リクルート流』(PHP研究所)、「オーラの営業」(Nanaブックス)、累計28万部のベストセラー『40代を後悔しない50のリスト』シリーズ(ダイヤモンド社)など。

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