アピールポイントは数字で示す

営業プレゼンの説得力を高める原則とは?数字・比較・グラフの活用術

売れる営業パーソンが「伝わるプレゼン」を目指すのは当たり前だが、できればその先にある「説得力のあるプレゼン」の域に到達して欲しい。
今回はその3つのポイントである「データを使って数字で語ること」、「比較で語ること」、「表やグラフを有効に使うこと」について共有する。

営業プレゼンの説得力を高める原則とは?数字・比較・グラフの活用術

プレゼンで説得力を持たせるには数字で語る

まず、説得力を持つプレゼンにするための第1のセオリーとして、勝負どころでは定量的な表現、つまりは数字やデータで語ることを心がけて欲しい。
確かに、「納期が短縮されます」というのもセールストークには違いないのだが、現在21日かかっている納期が19日に2日間短縮される場合と14日に7日間短縮される場合とでは相手に与えるインパクトは全く異なる。

とにかくプレゼンで重要なのは「相手に与えるインパクト」なので、ここは「納期が短縮されます」といった凡庸な表現ではなく、「納期が21日から、なんと14日に大幅に短縮されます」と必ず数字を入れて表現しなければ効果が不十分になってしまう。
もちろん「3週間だった納期が2週間に大幅に短縮されます」でも構わないが、ここは相手がよりインパクトを感じそうなほうを選択して欲しい。

同様に「コストの削減」も今や相当使い回された表現になってしまったので、聞き手の関心は「コストの削減」から「どの程度のコスト削減になるのか」に移ってしまっている。
なので、プレゼンや訪問時の商品紹介やサービスの案内時に最初から「コスト削減」という簡単な表現を使うのではなく、「これまでの実績ベースですと、御社と同規模のお客様の場合はザックリ10%~20%程度のコストの削減になりました」のほうが、訴求力が高い。

更にいうと、この定量的な表現というのは、具体的であればあるほどそのリアリティーが増し、インパクトに拍車をかける。
「これまで保守・運用に携わっていた要員が削減できます」より、「これまで保守・運用に携わっていた10名の要員が2~3名に削減できるはずです」のほうが、はるかに説得力が増す。
「部品点数が大幅に削減されます」と表現する営業パーソンより、「部品点数が3万点から2万点に削減されます」と表現する営業パーソンのほうが業績が高いというのは想像に難くないだろう。

人には「比較」が一番伝わりやすい

さて、説得力のあるプレゼンの第2のセオリーは「比較」で語ることだ。
私たち人間は何か1つのことを評価するより、何かと何かを「比較」するほうが相対化できるので評価しやすくなる。
この特性をプレゼンに活かさない手はない。
なので、競合各社との機能特性、品質、納期、価格、対応力といった比較表はプレゼンや営業ツールの定番となっている。

営業プレゼンの説得力を高める原則とは?数字・比較・グラフの活用術

この際、すべてが競合より優っているケースなどほとんどないので、勝負どころで自社が優っている項目から比較表を作成するのが鉄則になる。
あるいはそれでも総合的に見劣りしてしまう場合は、優っている部分が焦点になる流れを作ったり、優っている項目を更に細分化する手がある。

表やグラフはプレゼンを分かりやすくするが、使い過ぎないように

3つ目のセオリーは表やグラフで表現することである。理由は単純明快で「見やすい」「分かりやすくなる」からだ。
表について注意して欲しいのは、その「見栄え」よりも「項目名」や「名称」で、見る側にとって分かりやすい表現をとことん追求することだ。

グラフについては、円グラフが分かりやすいか、棒グラフが分かりやすいかを考慮するのはもちろんだが、あまり複雑にせず、シンプルに表現したほうが伝わりやすい。
最後に表やグラフが伝わりやすいからといって、1スライドにグラフや表を多く使い過ぎると相手には分かりづらくなるということも念頭に入れておきたい。

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この連載の著者

エマメイ先生(大塚 寿)

大塚寿 顔写真

1986年、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。サンダーバード国際経営大学院でMBA取得後、営業研修を展開するエマメイコーポレーションを創業、現在に至る。著書に 『〈営業サプリ式〉大塚寿の「売れる営業力」養成講座(日本実業出版社)』『自分で考えて動く部下が育つすごい質問30(青春出版社)』、『50歳からは、「これ」しかやらない(青春出版社)』など。

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