商材の魅力を別顧客の評価で語る

自社商品紹介の営業プレゼンでの「説得力を高める話し方」とは?

プレゼンの山場は自社の商品がどれだけ優れているか、顧客の課題を解決するためにどれだけ役に立てるかをアピールする商品紹介の場面になる。
しかし、営業パーソンがどんなに自社商品のすばらしさを力説しても、それはどこまでいっても「自画自賛」「手前味噌」の域を出ることができず、説得力に欠ける。
今回は、説得力を高める商品紹介の方法について共有したい。

自社商品紹介の営業プレゼンでの「説得力を高める話し方」とは?

商品紹介は「客観評価」で語る

いったいどうすれば、「手前味噌」感が払拭できるのだろうか?
それは「客観評価」で語ることだ。商品紹介で説得力を高める方法は、とにかく「客観視点」で表現することがポイントになる。
例えば、「業界トップのT自動車様からは×××という理由で、採用されました」といった言い方だ。

このロジックは商品紹介だけでなく、会社紹介のプレゼンでも同じだ。特に中小企業の場合は相手が会社名や沿革を知らない場合も珍しくないので、その場合も知名度の高い企業や自治体との取引や評価を紹介することによって信用力を高めたい。

「弊社の創業はS製鐵様の▲▲事業所に職人を派遣させていただいたことからスタートしまして、特に特殊技能を持った職人を短期間で揃えられることが評価されまして、他の工場をご紹介いただくようになって…」といった感じだ。

S製鐵からの評価を語ることによって「自画自賛」色が払拭され、S製鐵の知名度を利用して、自社商品がアピールできていることに気づくはずだ。

このロジックの最も有名な例は「下町ロケット」だろう。この呼称は直木賞作家池井戸潤氏の小説作品名からで、テレビドラマ化もされたが、元々のモチーフはNASA(アメリカ航空宇宙局)に採用されるほどの高い技術や製品開発力がある中小企業、町工場の存在だった。
従業員22名の町工場の技術がNASAに採用されたといったニュースは、結構昔から報道されていた。
その中小企業は全くの無名であったとしても、「どうやらNASAは弊社の×××に注目して下さったようで、宇宙ステーションで採用されました」「うち(自社の)×××がNASAから評価されて、パラボラアンテナの建設を請け負いました」という1フレーズで技術力の高さを強力にアピールできる。

自社商品紹介の営業プレゼンでの「説得力を高める話し方」とは?

評価者の信用をプレゼンに活かす

ここで重要なのは、誰が自社の商品や技術を評価しているかになる。裏を返せば、「評価者の信用で勝負する」ことになるのだが、それがNASAのような国際的な機関であれば最強だが、国や官公庁、有名企業、有名大学でも効果は絶大だ。
トップシェア企業からのお墨付きがあれば最強だし、トップシェアでなくても、ネームバリューのある企業や大学からの評価は使わない手はない。

価格は高くても「×××が評価されて、某大手ネット企業の倉庫でも採用されています」という客観評価は、「性能の高さは認めるが、価格が高すぎる」場面での切り返しトークとしても使える。
最大手がそれでも(価格が高くても)採用したのには、費用対効果から判断した相応の理由があるからだ。

また「そんなメジャーな取引先はない」場合は、できるだけ業界で知られていそうな企業や団体からの客観評価を用いたい。
具体的には業界で一目置かれている企業やキーパーソンからの評価が望ましい。たとえその評価者が無名であっても、その客観評価の内容に「なるほど!」と思わせるリアリティがあれば、「手前味噌」よりはるかに説得力が出る。
あるいは取引先だけでなく、新聞、雑誌、専門誌(紙)からの評価を使う手もあるし、技術や製品であれば論文という方法もあるので、できるところから早速試してみよう。

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この連載の著者

エマメイ先生(大塚 寿)

大塚寿 顔写真

1986年、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。サンダーバード国際経営大学院でMBA取得後、営業研修を展開するエマメイコーポレーションを創業、現在に至る。著書に 『〈営業サプリ式〉大塚寿の「売れる営業力」養成講座(日本実業出版社)』『自分で考えて動く部下が育つすごい質問30(青春出版社)』、『50歳からは、「これ」しかやらない(青春出版社)』など。

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