6つの場面に応じたプレゼン方法の選択
素人目にはほとんど同じようなプレゼン内容に思えるのに、その受注率を比較すると倍以上の開きが出るのはいったいどういうわけだろうか? プレゼンに負けた悔しさの中で、次は勝てるようにレベルアップしようとしても、何から始めていいか分からないのが普通なので、今回は最も手っ取り早い対処策を共有する。
まずは真実を話す。営業が強くない会社の共通点は「自社の立ち位置」をおざなりにしてプレゼンしているという点だ。
もう少々強く表現すれば、「買い手の立場を考慮せずに一方的にプレゼンしている」に近い。だから、買い手の側に立ってその商談全体を俯瞰的に見て、「自社の立ち位置」を把握した上でプレゼンのシナリオを練った競合には勝てない。
では、その「自社の立ち位置」とはいったい何なのだろうか。
端的に言うと、ザックリ以下の6パターンに応じてプレゼンを少しだけ変えるのだ。
この時ばかりは、もちろん、いつものプレゼンで構わない。
一番多いパターンだが、その際にいつものプレゼンをやってしまうと受注率はかなり低迷する。
なのでプレゼンの冒頭で、まずは相手より業界上位の企業の採用事例や相手が気にしているであろうライバル企業の動きなどを示して興味、関心に着火させた上で通常のプレゼン内容に入るのが鉄則だ。
その確率が8割以上と推定される事実があるなら、その商談自体を潰してしまうカードも想定しておきたい。
使える業界は限定され、業界によって常套トークも異なるが、納期が半年遅れでも構わないケースなら「ここだけの話、残念ながら弊社ではありませんが、半年後に某社から廉価モデルが発表されますので、各社様とも様子見になっています」的なものが用いられる。
もちろんウソやハッタリはご法度だが、コンプライアンスに触れない範囲での誇張ならセーフだ。
半年待てばコストが下がるという情報を持ちながら、「本命」に決めるということはオーナー企業のトップ以外にはなかなかできるものではない。
ここは、ビジネスパーソンの最大の弱みである「責任」の部分を突くロジックで考えるのがコツだ。
ルートセールス最大のネックは、“すべて過去を引きずる”ということだ。下手をすると13年前の「トラブル時の報告の仕方がまずかった」という前々々々任者位の汚点が今もなお引き継がれるなんてことが平気で起こるのだ。
そうした過去がある場合は、基礎点が減点されたマイナス段階からのスタートと心得て、ライバル達よりどれだけ点数を積み上げられるかという発想でプレゼンに臨みたい。
その際のプレゼンのクライマックスは“トラブル時の対応”だ。過去に迷惑をかけたことを例に出し、そこから何を学び、何を反省し、何を改善し、どのような体制にし、現在のトラブル時の対応の事例を具体的に示し、そこに客観的な評価のコメントも加えたい。
相手が忙しい場合は、プレゼンの要点をまとめたサマリーを“ペライチ”で準備しておきたい。プレゼンの要件としてサマリー添付の場合もあるが、相手が忙しい場合にも威力を発揮する。
“ペライチ”はプレゼンの全ページを要約するのではなく、
の3点を柱にまとめること。判型はA4でもA3でもよいが“ペライチ”なのがキモになる。忙しい人ほど分かりやすいモノ、比較しやすいモノ、定量的に判断できるモノを好む。
「それが分かっていて、この“ペライチ”を別建てで作成しています」というところを暗示できるのが「売れる営業」の演出なのだ。
馬の合う相手の場合、受注率が高いのはよく知られた所だが、ソリが合わないと思っている相手からの受注率が低いかというと、そうならないのが営業の不思議な所だ。
初見でソリが合わないと感じた相手から即決で仕事をもらったり、大金星となるような受注になったりすることも少なくない。
なのでソリが合う相手であれば、「これで受注率が上がる」とポジティブに考えればいいし、「ソリが合わない」と感じてしまった場合でも、「意外な受注になるかも」と自己暗示をかけるもよし、「受注率には関係ない」と気にしないのもよしで、とにかくソリの合わない相手であっても「受注率が低い」という発想をしないのが重要になる。
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