プレゼンの要点は3つにまとめる

営業プレゼンの基本セオリー「ポイントは3つ」の実例と効果とは?

「マジカルナンバー3」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
これは欧米の大学や大学院で「プレゼンテーション」という授業を履修すると、プレゼンのセオリー、テクニックとして教えられる定番の1つだ。
このセオリーを知らないと売れる営業のプレゼン構成が作れないので、今回はプレゼンの基本的なセオリーである「マジカルナンバー3」について共有する。

営業プレゼンの基本セオリー「ポイントは3つ」の実例と効果とは?

「マジカルナンバー3」が意味するところは、“プレゼンで強調したいポイントは3つにまとめて話せ”ということだ。

「マジカルナンバー3」の実例

例えば、製品説明の場面では次のような言い方になる。

「弊社のこの商品の特長は3つあります。まずは、小型、軽量である点です。こちらが他社との比較表になりますが、業界で最も小さく、軽いので、作業員が1人で取り回しできるため設置コストが軽減できるだけでなく、ユーザー様にとっても場所を取らないというメリットがございます。」

といった感じのスタートになる。
ポイントは最初に「特長が3つあります」と言い切ってしまうことだ。それにより相手には何より、「3つ」あることが印象付けられるので、聞く準備ができて1つひとつの内容が頭に入りやすくなる。
人が記憶できることは4つまでなので、その範囲に余裕を持って収まるという効用も忘れてはならない。
この例では「弊社のこの商品の特長は」という「特長」というワードを用いているが、ここは「強み」に置き換えても構わないし、「セールスポイント」でもいいので、とにかく“ここはアピールの山場”という認識の下に言葉を選んで欲しい。
ただでさえ、総じて日本人は謙虚なので、アピール場面のはずなのに、淡々と製品説明に終始し、相手にその商材の魅力が伝わらず、失注を繰り返している営業パーソンがあまりに多い。
製品の強みも価格優位性も1番手だったはずなのに、ふたを開ければ失注という原因がこうしたプレゼンにあったということは少なくないのだ。

「3つ」にまとめたい理由

さて、相手とやり取りしながら上記に続けるのが「2つ目は…、3つ目は」ということになるが、正直どう考えても「強み」と呼べる事実が2つしかない場合もあるだろう。
その際も「弊社サービスの強みは2つあります」より、あえて取るに足らないことでも、もうひとつ追加しておいて「弊社サービスの強みは3つあります」にすることをお薦めしたい。

教育効果が上がる3つの理由

もちろん、嘘や極端な誇張はご法度だが、「強みというほどでは…」的なことを追加するイメージだ。
なぜなら、あえて3つ目を加えることによって、相手には1つ目、2つ目の強みがより強調されて伝わるからだ。
これは化粧品業界でいう「捨て色」と全く同じ発想だ。
口紅などで「春の新色」を発表する際、売れ筋になるのはその中の1色だったり2色だったりするのに6色とか11色とかのバリエーションで展開する。
経営効率を考えれば、最初から売れ筋になるであろう1~2色に絞って展開すればいいと考えがちだが、そうするとその1~2色も売れなくなることから、売れ筋をつくるために、あえて「捨て色」という戦術を採用するようになったという訳だ。
人はあれこれ試した結果1本を選びたいので、その際の比較対象が捨て色になる。

日本語や英語などすべての言語に「文法」という決まりがあるように、プレゼンにもセオリーがあるのだが、日本においてはそれらを知らない営業パーソンがあまりに多い。
かつては日本の学校の授業に「プレゼンテーション」などという科目はなかったので、それも仕方のないことかもしれない。
なので、「マジカルナンバー3」以外のセオリーもこの場で随時紹介していきたい。

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この連載の著者

エマメイ先生(大塚 寿)

大塚寿 顔写真

1986年、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。サンダーバード国際経営大学院でMBA取得後、営業研修を展開するエマメイコーポレーションを創業、現在に至る。著書に 『〈営業サプリ式〉大塚寿の「売れる営業力」養成講座(日本実業出版社)』『自分で考えて動く部下が育つすごい質問30(青春出版社)』、『50歳からは、「これ」しかやらない(青春出版社)』など。

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