営業のNGワードを学ぶ
初回訪問はできるが、2回目訪問につながらない、あるいは、なかなか案件化できないことに悩む営業パーソンは少なくない。
実は、その原因が商談時の営業パーソンの言葉の選択がまずくて、「付き合うに値しない」という烙印を押されているケースが見逃せない数に上っている。
しかもこれは本人にも、上司にも気がつきにくいことなので、ここで紹介しておきたい。
普段、何気なく使っていたり、癖や習慣となっていたりするので自然に出てしまう言葉。しかし、選択を誤ってしまうと意図に反した形で相手に伝わってしまうだけでなく、信頼に値しないという評価、お付き合いするレベルにはないというダメ出しの引き金になってしまうので注意したい。
よくよく観察すると、ミスが起きやすいのは次の3つの選択シーンだ。
例えば、典型的なその場にふさわしくない表現は、初回訪問の相手に対し、自社紹介をする出だしの「弊社の名は、お聞きになったことはございますか?」という質問。
何気ない一言ではあるのだが、全く不用意な一言で、質問自体がなんのプラスも生まないどころかマイナスの結果しか生み出さないので、やってはいけない。
自社が誰でも知っている有名企業であれば、そもそも聞く必要はないだろうし、有名でも無名でも、そこで「いえ、知りません」という返答になってしまうと、結果的に「相手の無知」を暴露することになってしまったり、相手の知識を試すおこがましい行為に映ってしまったりと、不用意な一言以外の何物でもない。
人間関係がまだ成立していない相手に対しては、個人的な知識を問う不用意な質問は避けておきたい。
また、在庫の照会に対し、「一応、在庫は大丈夫でした」という回答と「在庫につきましても、全く問題ございません」という回答のニュアンスの違い。
国語的には両者とも在庫があるはずなのに、不用意に前者のような表現をしてしまうと、相手には「本当に大丈夫なのか?」という不安になるきっかけを作ってしまうので、「一応」を避け、「全く」をうまく使いこなしたい。
相手と自分が同じ業界であったり背景を共有していたりすれば専門用語で問題ないが、まだそれが分からないうちは専門用語を避けて、誰でも分かる表現を使いたい。
さもないと、「使えない営業」の烙印を押され、本気で相手にされなくなってしまうので、注意したい。
また、方言のように業界によって専門用語も多少変化することも知っておきたい。
例えば製造業の営業なら、どこでも多頻度で使う「設計変更」という用語。これを自動車会社や自動車部品メーカーの一部では「設変(せっぺん)」という業界用語を使う場合もあれば、それでは全く通じない業界もあったりする。
一方、横文字も一緒で、コンサルティングファームやIT業界のように横文字表現を好む業界もあれば、官公庁、自治体のように横文字表現の多用を避ける組織もあるので、まずは業界の慣例を知ってから、それに合わせて対応していきたい。
駆け出しの営業パーソンが最初につまずくのは「敬語」のところだが、敬語が露骨におかしいと現場で教育もされてないのかと「社格」を問われることになる。
敬語の使い方として間違いに気づきにくいのが、「なるほどですね」という言い方。いつの間にか営業場面で普通に使われるようになっているが、「なるほどですね」は敬語的にアウトだということを知っておきたい。目上の人に「なるほどですね」と言っては失礼にあたる。「おっしゃるとおりです」「なるほど、そうですね」や「はい」が正しい。
ちなみに「なるほど」だけでは、「なるほどですね」同様、目上の人には失礼になる。
ついでに言うが「そうなんですね」も使わないほうがいい。
営業で使う敬語というのは、15~20の動詞の尊敬語と謙譲語がほとんどなので、ネットなどでチェックし、よく使う短文にして、1日10回位唱和していると数週間で口になじんで、自動的に言えるようになるので、そうして口癖にしてしまうのが習得のコツだ。
敬語と言っても、日本語であることに変わりはない。すぐにマスターできるので、苦手意識を持つ必要はない。
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ここで述べているノウハウやスキルは、読んだだけでも充分勉強になります。しかし、これだけでできるようになるわけではありません。実際の営業場面で「できる」ようになるためには『実践とフィードバック』が必要になります。
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