テレアポに効果的なスクリプトを作成
テレアポは、電話を受ける側にとっては仕事を中断させる迷惑な「売り込み電話」という認識が一般的です。そのため、邪険に扱われたり、ガチャ切りされたりして落ち込んでしまうこともあります。
今回は、成功率を高めて営業パーソンが不快な思いや無力感をできるだけ味あわずにすむよう、テレアポで活用できるトークスクリプトのポイントや作成方法、実践のコツを紹介します。
テレアポにおけるトークスクリプトとは、相手との会話を円滑に進めるための「台本」のことです。営業パーソンがアポを獲得するまでの流れを整理し、どのように話を切り出すか、相手の反応にどう返すかをあらかじめ設計しておく役割を持ちます。
初心者でも活用しやすく、会話の進め方に迷ったときの指針となるため、実際のトーキの現場で心強い支えとなるのがスクリプトです。具体的な例を交えることで、より実践的に使えるようになります。
テレアポで使うトークスクリプトには、営業を効率化できるメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。ここでは両面を整理して解説します。
トークスクリプトを用意しておくことで、テレアポにおける会話の流れが整理され、相手に迷わず話を進められます。実際のトーキの場面で言葉に詰まることが減り、結果としてアポ取得の成功率を高めることにつながります。
スクリプトを共有することで、個人によってばらつきが出やすいトーキの質を一定に保てます。営業組織全体で統一した会話の進め方を実践できるため、相手に与える印象も安定し、成果の再現性が高まります。
経験が浅い新人でもスクリプトを活用すれば、実際のテレアポで相手とやり取りする際の手順を理解しやすくなります。具体的な例をもとに練習できるため、短期間でアポ獲得に必要な基本スキルを習得できる点が大きなメリットです。
あらかじめスクリプトを準備しておくことで、重要な説明や質問を抜かしてしまうといったケアレスミスを防げます。相手に正しく情報を伝えられるため、誤解やトラブルの発生も最小限に抑えることができます。
スクリプトに頼りすぎると、相手の反応に応じた柔軟なトークがしにくくなります。とくに想定外の質問や拒否に直面したとき、台本にない対応が苦手になってしまう可能性があります。
トークスクリプトはあくまで会話の例や補助にすぎません。過度に依存してしまうと、自然なやり取りができず「用意されたセリフを読んでいるだけ」と相手に受け取られ、アポにつながりにくくなるリスクがあります。
情報検索が容易になり、働き方改革で無益な面会を避ける傾向が強まる中、テレアポの難易度は年々高まっています。
成果を出すには受付を突破し、相手であるキーパーソンの関心を引き出すことが欠かせません。単なる営業トークでは不十分で、テレアポ全体のシナリオ設計とトークスクリプトを使った練習が成果を左右します。
ここでは基本的な手順を整理します。
挨拶・自己紹介
↓
つかみ:受付突破トーク/フロントトーク
↓
本番トーク
↓
相手の反応への対応(切り返し)
↓
クロージング
↓
日程調整
以下がテレアポ全体の流れを整理したトークスクリプトのチャートです。
以下に、各ステップを詳しく解説していきます。
テレアポでは最初の一声が相手の印象を大きく左右します。明るく簡潔に挨拶し、自分が何者で、どのような目的で電話をしているのかを一言で伝えることが大切です。営業トークの前に信頼感を与える第一歩として、丁寧な自己紹介を準備しておきましょう。
受付担当者、いわゆるゲイトキーパーの対応は大きく4つのパターンに分かれます。
1)キーパーソンに取り次いでくれる
2)用件を問われる
3)何らかの理由で拒否される
4)キーパーソンが不在と返答される
取り次いでもらえた場合を除き、その他のケースではあらかじめトークスクリプトを準備しておき、相手の反応に応じて即座に切り替えられるように練習しておく必要があります。
テレアポでは簡潔さがポイントです。特に相手を主語にしたトークは突破率が高くなります。例えば「御社が得意とされている分野に最適な新モデルが完成したため、ぜひご紹介に伺いたいのですが…」と伝えると、アポの獲得率が高まります。
拒否された場合は、その会社の電話応答マニュアルや担当者の経験に基づく基準に引っかかっている可能性があります。同じ営業トークを繰り返すのではなく、主語や切り口を変えた新しいスクリプトを試す必要があります。特にキーパーソンの名前を告げていない場合、拒絶されやすくなるので注意が必要です。
この場合は戻り時間を聞くことが基本ですが、聞き方が重要です。単に「何時頃戻られますか?」と尋ねるのではなく、「失礼ですが、だいたいお戻りは何時頃でしょうか」と腰を低く丁寧に聞くことで、相手に誠実さが伝わります。特に、謙虚な雰囲気をトークにのせることが成果を分けるポイントになります。
受付を突破した後はいよいよキーパーソンとの本番トークです。ここでも「相手を主語にするトーク」が有効です。特に、キーパーソンがほしい情報を提供することで、アポの成功率は格段に上がります。
例えば、次のような情報は大きな武器になります。
・製品・サービスの魅力やベネフィット
・業界に役立つ情報や最新の動向
・他社の導入事例や成功事例
「働き方改革で成果を上げた10社と成果が出なかった10社を比較した事例集が完成しました。御社の業界に特に役立ちそうですので、ぜひ一度ご紹介させていただければと思います。」
といったように、相手にとって有益な情報を提示することで、「話を聞いてみよう」という気持ちを引き出せます。賢い管理職は営業パーソンを通して幅広い情報を収集しているため、情報提供型のトークスクリプトは非常に効果的です。
クロージングでは、強引にアポを迫るのではなく、相手に判断を委ねることが大切です。信頼関係を維持しながら「ぜひ一度お時間をいただきたいのですが」といった前向きな表現を用いることで、自然にアポイントにつなげることができます。
日程調整では「Yes or No」で答えられる質問を避け、「A or B」で選んでもらえる疑問文を活用するのがポイントです。例えば「来週の前半と後半、どちらがご都合よろしいですか?」と聞くだけで、相手が答えやすくなり、アポ獲得率が格段に高まります。
一方で「新しいサービスをご案内したいのですが、ご都合よろしいでしょうか?」といったYes/No疑問文は「No」という選択肢を与えてしまうため避けましょう。
トークスクリプトは準備の仕方次第で成果が大きく変わります。ここでは効果的な作り方のステップを整理します。
まずはスクリプトを使って何を達成したいのかを明確にします。テレアポの目的は「商品の詳細説明」ではなく「アポを取ること」が多いため、ゴールを「相手と次の商談につなげる」と定義しておくことが大切です。
アポ成功率を高めるには、架電先の業界や担当者の役割を事前に調べることが欠かせません。リサーチをもとにしたスクリプトは相手の状況に寄り添ったトークになり、突破力が大きく高まります。
テレアポは一方的な説明ではなく、相手から情報を引き出すことが重要です。「現在どのような課題を感じていらっしゃいますか?」といった質問をスクリプトに組み込むことで、自然に会話が深まりアポ獲得につながります。
相手が自社の話に興味を持ちやすくするためには、実際の導入事例が効果的です。「同業他社でこのような成果がありました」という具体的な例を挟むことで、信頼性を高めながらトークを進められます。
同じ内容でも話し方次第で印象は変わります。声のトーン、スピード、間の取り方などをスクリプト上でルール化し、繰り返し練習することが重要です。相手に誠実さや安心感を与えるトークが、アポ成功の近道になります。
ここでは、実際に使えるテレアポのトークスクリプト例を紹介します。状況に応じた例文を準備しておくことで、相手の反応に合わせた柔軟な対応が可能になり、アポ獲得の成功率を高められます。
「お世話になっております。◯◯株式会社の△△と申します。
御社が最近力を入れていらっしゃる△△分野に役立つ新しいサービスがありまして、担当の□□様にぜひご紹介したくご連絡しました。
短い時間で結構ですので、一度お話しのお時間をいただければと存じます。」
→ 相手を主語にしたトークで用件を簡潔に伝えることがポイントです。
「お世話になっております。◯◯株式会社の△△と申します。
□□部門の責任者の方にご相談したい件がございまして、ご担当の方におつなぎいただけますでしょうか。」
→ 相手の立場を尊重し、丁寧に依頼する姿勢をスクリプトに盛り込みましょう。
「突然のご連絡で恐れ入ります。ご多忙のところと存じますので、改めてご都合のよいタイミングでお話しさせていただければ幸いです。
実は御社と同業の企業様で導入いただいた事例があり、成果を上げられたケースがございますので、ご参考までに一度だけお話できればと思います。」
→ 拒否を受けても粘らず、別の価値を提示することで相手の興味を引き直します。
「失礼ですが、□□様は本日どのくらいでお戻りになられるご予定でしょうか。
もしよろしければ、後ほど改めてご連絡させていただきたいのですが…」
→ 謙虚で丁寧なトークが大切です。強引さを避けることで、次回のアポ獲得につながる可能性が高まります。
テレアポではトークスクリプトを準備していても、使い方を誤ると逆効果になってしまうことがあります。ここではよくある失敗の特徴と、改善のためのポイントを解説します。
「新商品を紹介したいのですが」など、自社都合を前面に押し出すトークは相手に「売り込み電話だ」と思われやすく、拒否される原因になります。相手の課題や関心を主語にしたスクリプトを用意することが大切です。
「ご都合いかがでしょうか?」とYes/Noで答えられる依頼は、相手に「No」と言う選択肢を与えてしまいます。そのためアポが成立しにくくなります。選択肢を与えるトークを取り入れ、断られにくいスクリプトにする必要があります。
取引先を装ったトークで相手につながろうとする手法は、短期的には突破できても信用を大きく損ないます。相手からの信頼を失うリスクが高く、長期的な成果につながらないため避けるべきです。
トークスクリプトは読むのではなく活かすことで、自然な会話につながりアポ獲得率を高められます。
スクリプトをどんなに準備しても、かけるタイミングが悪ければ効果は半減します。一般的に、週の前半や午前中よりも、相手が落ち着きやすい午後や週後半の方がアポにつながりやすいケースがあります。曜日や時間帯を意識することで、成功率をさらに高められます。
トークスクリプトはあくまで練習用の台本であり、本番でそのまま読み上げるのは避けましょう。相手には「読んでいる口調」が伝わり、素人っぽい印象を与えてしまうからです。アポ獲得率を高めるには、スクリプトをベースにした自然な会話が必要です。慣れてきたら、重要なキーワードだけを箇条書きにして手元に置き、会話のヒントとして活用する方法がおすすめです。
テレアポでは内容の良し悪しだけでなく、声の大きさやスピード、間合い、抑揚といったトークのリズムが成果を左右します。特に「間」を意識することで、相手に安心感を与えやすくなります。スクリプトに「/」や「(間)」といった符号を入れておくと、自分に合った呼吸や間の取り方を習得しやすくなり、アポ成功率の向上につながります。
最後に大切なのは、営業トークの一言ひとことに気持ちを込めることです。「ぜひお会いして御社のお役に立ちたい」という想いを声に乗せるだけで、相手の受け止め方は大きく変わります。テレアポは単なるスクリプトの読み上げではなく、誠実さや熱意を伝える場です。繰り返し練習する中で、自分なりの表現やニュアンスを磨いていきましょう。
テレアポは難易度が高い営業手法ですが、トークスクリプトを準備することで相手との会話に自信が持て、アポ獲得率を高められます。大切なのはスクリプトをただ読むのではなく、自分の言葉として活かすことです。基本の流れや例文を参考に、日々改善しながら成果につなげていきましょう。
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