商談の背景から案件を取捨選択する

「付き合い見積もり」って何?受注率を上げるための営業見積もりの出し方

「売れない営業」はすべての見積依頼、提案依頼に対応しようするため、著しく受注率が低くなっている。
そうした状況から脱却し、受注率を高めるためにはいったいどうしたらいいのだろうか。

“付き合い見積もり”って何?受注率を上げるための営業見積もりの出し方

見積依頼が来たら、まずは真剣に追うか、捨てるかで案件を捌(さば)く

能動的アプローチに対し受動的アプローチというのは、顧客の方から;

(1)見積依頼、招待
(2)提案依頼、RFP(Request For Proposal)
(3)資料請求、HPなどへの問い合わせ

などがあり、商談がスタートするケースである。

相手側から買いに来てくれるのだから、ある意味営業パーソンにとっては「究極の営業」には違いないのだが、発注側にとっては数社から見積もりをとって競わせてより安く買うための「相見積もり(通称あいみつ)」なので、価格競争になりやすいため手放しでは喜べない。

そうした理由で、見積依頼にしろ、提案依頼にしろ、受動的アプローチで一番大切な動きは「案件捌(さば)き」になる。“成果を上げる”という文脈では案件捌きに始まり、案件捌きに終わるといっても決して言い過ぎにはならない。

案件捌きというのは、どの案件を真剣に追いかけ、どの案件を捨てるかという案件を選抜する判断のことである。
その背景には、受動的アプローチ型の企業にとっては受注できるかどうか分からない、すべての見積依頼に対応していたら、生産性や成果が極端に落ちるだけでなく、組織としてパンクしてしまうという現実があるのだ。
したがって;

  • 受注確率が低い(例えば50%未満)
  • 自社の強みが発揮できない
  • 利益(率)が低い
  • リスクが高い
  • 与信が不安

といった基準で、追うのか、捨てるのかを早い段階で判別することが不可欠になる。受動型の営業においては、「売れる営業」と「売れない営業」の差というのは、この判断の正確さと速さに如実に現れる。

断っておくが、「売れる営業」と言えども、真剣に追うと決めた案件の100%を受注しているわけではないので、その受注率は右肩上がりに高くなればいいというスタンスで臨んでほしい。
経験が浅いうちは状況や背景を上司や先輩に報告して、取捨選択の判断を仰げばよいが、その案件ごとの判断基準や傾向、結果を蓄積して、3年以内には自力で判断できるようになりたい。

受動的アプローチ時の案件捌きの考え方

案件を追うのはいいとして、難しいのは案件を捨てるというか「見切る」場面だ。仕様、ラインナップ、あるいは価格競争力によって勝ち目のない案件というのは、実際少なくない。
しかし、顧客に対し「受注できる気がしないので、見積もりは出しません」なんて言えるはずがない。いや、言うことはできても、よっぽど売り手市場でもない限り次からの見積依頼が来なくなってしまうかもしれない。

そこで、こうした業界では「付き合い見積もり」と称して、既存顧客に対してもまずは受注することのない、微妙に高い見積もりを形式的に提出することが少なくない。
精緻な積算などしないで極力時間をかけずに高い、それなりの見積金額を提出することによって、その案件からリリースされれば、他の受注率の高そうな案件に注力しやすくなるというわけだ。

新規の取引相手への対応で知っておきたいこと

見積依頼、提案依頼というのは基本的にルートセールス、アカウント営業といった既存顧客への営業が前提となるが、受動的アプローチには資料請求やホームページの問い合わせといった新規顧客の場合もある。
新規の場合は、資料請求レベルならいいが案件化の可能性が高いなら、そもそもその相手が自社と取引できるか否かの与信調査が必要になる。
自社の取引条件は某信用調査会社の評点「50点以上」であれば、日本全国の評点の平均が40点前半であることから、半分以上の企業とは通常の条件では取引できないことになってしまう。
そういう場合は、前金にしたり半額を前金にしたりするなど、取引条件でリスクヘッジするとか、間に商社を入れるなどして取引をスタートすることもある。

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この連載の著者

エマメイ先生(大塚 寿)

1986年、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。サンダーバード国際経営大学院でMBA取得後、営業研修を展開するエマメイコーポレーションを創業、現在に至る。著書に『リクルート流』(PHP研究所)、「オーラの営業」(Nanaブックス)、累計28万部のベストセラー『40代を後悔しない50のリスト』シリーズ(ダイヤモンド社)など。

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