自社の強みをあぶり出す4つの視点

営業が自社の強みを分析できるフレームワーク「4つのP」

“顧客が抱える課題を、自社製品(商品)、自社サービスの「強み」で射貫く”ことが「売れる営業」の基本形となる。
今回はその自社製品、サービスの「強み」をあぶり出すための商材分析のための4つの視点を紹介する。

営業が自社の強みを分析できるフレームワーク「4つのP」

営業で使える商材分析のフレームワークは“マーケティングミックス4P”

自社の商材分析と言うと、一見、みなやっていそうなものだが、実際、営業に直結するような分析までやっている営業パーソンや営業部隊は少ない。
なぜなら、私たちは“分析”という言葉を用いた途端に“お勉強モード”のスイッチが入ってしまい、おおよそ日々の営業には役に立たない、上滑りしたような分析に終始してしまうからだ。

そこで「売れる営業」の武器にできる「強み」を導き出すには、以下のマーケティングミックスの4Pのフレームワークを薦めたい。すなわち

1)Product(製品・サービス)
2)Price(価格)
3)Place(チャネル等)
4)Promotion(販売促進等)
という4つの視点だ。

1)Product

日本語にそのまま訳せば「製品(サービス含む)」になるが、ここはもう少々細かく分析しておきたい。
Productの概念で最も重要なのはベネフィット、つまり顧客がその製品やサービスを欲しいと感じる中核的な価値だ。

顧客が欲しいのはドリルではなく、1/4インチの穴だ

マーケティングの第一人者フィリップ・コトラーは著書の中で「顧客が欲しいのはドリルではなく、1/4インチの穴だ」というレビット博士の名文句でベネフィットを説明していた。
要はここで顧客が真に欲している「穴」のようなモノやコト、顧客が得る恩恵がベネフィットというわけだ。

まずは自社商材を分析する上で、想定顧客のベネフィットが何なのかを明確にできると「強み」を見出しやすくなるので、そこは最初に意識して欲しい。
更に、ブランド、機能特性、性能、品質、パッケージング、スタイリング、品揃えの中から競合と比較して相対的に勝っているものを「強み」としてリストアップするのだ。
これらの外郭になるが、保証、メンテナンス、据え付け、施工、無料配送などで「強み」が発揮できるものがあればそれでも構わない。

【自社(売虎社)営業アウトソーシングサービス】の商材分析

商材分析のフレームワーク図

2)Price

こちらもそのまま日本語に訳してしまうと「価格」になってしまうが、営業的な「強み」を見出すには、定価、値引き、利益幅、支払サイト、支払条件まで細かくして見たい。
単に「価格をいくらまで下げる」といった価格競争だけでなく、例えば、分割支払い、金利・手数料ゼロといった支払条件の工夫も営業上の武器になるので、その辺りまでは視野を広げて「強み」を発見したい。

3)Place

これは日本語としては“チャネル”に近い。販売チャネル、販売領域、立地条件、在庫、配送に関する「強み」や「特長」だ。
在庫が豊富であれば、営業的には急な発注や短納期対応もできるため好ましいことであるが、経営的には収益の悪化やキャッシュフローの減少をもたらすので、自社の軸足が在庫を持つスタンスなのか、絞るスタンスなのかは把握しておきたい。
また例えば、強力な販売チャネルがあるなら、多少商品力が弱くても、十分に伍していけるし、立地条件が悪いとそれを補って余りある「強み」がないと厳しい。

4)Promotion

これは文字通りの販売促進策だけでなく、広告、営業施策、パブリシティー(PR)などに関する「強み」で、キメの細かな顧客対応という営業力で差別化する企業もあれば、展示会やリベートなど販売促進策に力を入れる企業もある。
また、営業パーソンの数が少なかったり販売チャネルが少なかったりする企業は、ネットや紙媒体を用いたPR活動によって弱点を補おうとするケースもある。



たった1つの「強み」を前面に押し出す方法もあるし、それほど強いとは言えない「強み」を3つ集めて、合わせ技一本という手もあるので、相対的にちょっとだけ競合に勝っているという「強み」も大切にして商材分析にトライして欲しい。

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この連載の著者

エマメイ先生(大塚 寿)

大塚寿 顔写真

1986年、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。サンダーバード国際経営大学院でMBA取得後、営業研修を展開するエマメイコーポレーションを創業、現在に至る。著書に 『〈営業サプリ式〉大塚寿の「売れる営業力」養成講座(日本実業出版社)』『自分で考えて動く部下が育つすごい質問30(青春出版社)』、『50歳からは、「これ」しかやらない(青春出版社)』など。

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