登場人物の意識決定基準を推測する
いわゆる「営業の強い会社」では、新人のOJTの段階で育成担当者や上司から顧客の意思決定のプロセスと判断基準のパターンが教え込まれ、それらのパターンの中から独力で推測ができるように指導される。
今回はその中身を共有したい。
実は、顧客の意思決定プロセスには業界ごとの傾向や類似企業との共有性がある。そのパターンをあらかじめ知っていれば、顧客ごとの意思決定プロセスや購買基準が推測できるようになり、案件化率、受注率とも著しく向上する。
これは学生時代、中間試験や期末試験で、あらかじめどういう問題が出るか予想できた時に高得点が取れた経験があると思うが、その原理と全く同じだ。
以下代表的6パターンを紹介する。
→現在大手企業ではもっとも多い
→合議制である日本企業を象徴してきた意思決定プロセスで、担当者が稟議書を書き、課長級⇒部長級⇒役員が順次、決裁していく仕組み
→電子入札を含め最低入札額の売り手が選択される仕組みなので、顧客が介在する余地は少なそうだが、事前に様々な部門の声を多角的に聞き、総合的な判断で入札額を決める方が受注率が高まる。
→いくら部課長に気に入ってもらっても、社長の鶴の一声でひっくり返されてしまうことも少なくない。逆に社長から信頼されると継続的に取引が繰り返されるため、社長へのアプローチが必須。
→権限移譲の進んだ大手企業では、100万円程度の決裁権を部長にまで下しているケースも多い。案件ごとの役員会での承認は不要なので、部長の志向や好みに沿えば受注率は向上する。
→「採用に関する予算1億円」「社員教育に関する予算5000万円」といったようにすでに予算化されているケースでは、上記1)に近い意思決定プロセスにはなるものの、すでに役員会でトータルの予算は決裁されているため、個別の発注は部課長の決裁で済む。
さて、重要なのはこれらの意思決定プロセスで用いられる判断基準だ。
代表的な基準は;
→価格による判断
→目的にどれだけ沿っているかによる判断
→環境や環境変化にどれだけ合致するかによる判断
→大切にしているモノやコトにどれだけ沿っているかによる判断
→会社内の業務フローやシステムへの親和性による判断
といったところだ。
先の顧客の意思決定プロセスとこの判断基準の組み合わせで、すべての案件の発注先が決定される。
しかも、関係部門や登場人物が増えるたびに、それぞれの判断基準が異なるために、登場人物の力関係、発言力、キーパーソンか否かをコミュニケーションの中で見極めつつ、パズルを解くように、各部門の関係者の判断基準を明確にしていかなければいけない。
最も大雑把な推測としては、「ユーザー部門は、とにかく品質が高く使い勝手のよいものを求めるし、調達部門はどれだけ安く買えるかが最重要課題で、検討部門はそれらのバランスを取りたがる傾向がある」といったところだ。
この推測をスタートラインにできるだけ多くのステイクホルダーから情報を取って、案件を有利に進める筋道を描きたい。
その中で、登場人物については「担当者(窓口)、決裁者、検討者、使用者、購買者、影響者、キーパーソン、支援者、妨害者」のいずれかに分類すると、整理しやすい。
場合によっては同じ部門の担当者、課長、部長で判断基準が異なるケースもあるので、その際は誰がキーパーソンなのかで判断したい。
自分の意思を通したい部長もいるし、課長や担当者といった現場の意見を尊重したい部長もいるので、部長がキーパーソンと決めつける前に、部長がどういうタイプなのか、情報を入手したい。
ちなみにエマメイ先生はリクルートでの新人時代、大型案件の時は「登場人物のチャート図」を描かされていたが、これは非常に役立った。
また、多少例外的なのは上記3)の入札で、その判断基準は「価格」一本の場合が多いが、場合によっては技術点、実績点などを加えた総合評価のケースもある。
しかし、その場合でも「価格」メインには変わりはないので、競合各社の出方を窺いながら、多方面からの情報を集めつつ、競争力のある価格で勝負することになる。
更に4)オーナー社長の鶴の一声の場合は、社長の判断基準が主にb)目的c)環境d)価値から直感的に選択されることが多いので、あらかじめ社長の人となりについて情報を収集して、自身や自社がどれだけ社長に役に立てるのかを端的にアピールするところからスタートしたい。
最後に1つ付け加えておくと、新しい分野の商材については、顧客がその判断基準を持っていない場合もあるので、他社事例などを複数用いて情報提供から始めたい。
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