営業を成功させる決裁ルートの把握

営業に必須!決裁権者を把握するテクニック【具体例で解説】

商談規模が大きくなればなるほど、その商談に関わる顧客の部門や登場人物の数はどんどん増えていく。
その際、商談が相手企業のどのような意思決定プロセスで進んでいくのかという決裁ルートが分かっているか否かで、受注率には決定的な差が生まれてしまう。
今回は営業を成功させるための決裁ルートの把握について共有していく。

営業で決裁権者・ルートを把握するテクニックを具体例で解説

決裁権と決裁ルートを把握する

いわゆる「営業力のある会社」に共通していることは、新人営業パーソンにアカウントやターゲットとなる見込み客の「決裁ルート」が必須のヒアリング項目であることを教え込み、その把握の方法を徹底的に指導していることだ。
官公庁や自治体のような入札であれば、決裁権や決裁ルートを事細かに探る必要はなくなるが、日本の場合は入札ではない商取引が圧倒的に多いので、決裁ルートを把握した上で、受注率を高める施策を展開した企業のほうが有利になる。

商談をスタートするに当たって、できれば「決裁権」と「決裁ルート」について、事前に前任者や関係者から聞いたり、業界としてありがちなプロセスを推測したりして当たりをつけておきたい。

1)決裁権を把握する

決裁権というのは、どの部門のどの役職の人がいくらまで決定できるかという裁量権のことで、大手企業の場合は100万円までは部長職、1000万円までは取締役、それ以上は取締役会や常務会などの合議で決めるパターンや、ある一定の金額以上は稟議で決裁するケースなどが多い。
中には係長が3億円を決裁する超大手企業も存在する。
大手企業以外の場合では、25万円の商談でも社長決裁が必要な企業もあれば、課長が100万円を決裁する企業もあるものの、企業規模と商談規模によってかなりの類似性があるので、それらのパターンを推測しておくだけで、実際の決裁権や決裁ルートが把握しやすくなる。

2)決裁ルートを把握する

決裁パターンという意味では、数十名規模に対する数十万円以上の案件は、社長に会わないと決まらないケースが少なくない。
あるいは、年間予算がすでに決められている場合は、その中身の裁量は課長クラスにまで権限移譲されている企業もあるので、数百万円単位の商談であっても1人のマネージャーに気に入ってもらえただけで受注できる場合もある。
取引相手の規模が大きくなると、当然のことながら、その商談にかかわる登場人物の数や部門の数も増えるが、その際は「比較検討する部門、ユーザー部門、購入する部門」という3視点から決裁ルートを特定していく方法が王道だ。

もちろん、多くの場合、決裁ルートとしては、商談のメインの窓口は比較検討する部門になるが、その部門はユーザー部門の意向や課題を見据えて、総合的にベターな選択をし、価格交渉及び受注後の発注書や契約書のやり取りは購買部門や調達部門になるので、それぞれの部門のキーパーソン、支援者、反対者が誰になるのかといった情報を事前、もしくは商談を通じて入手していきたい。

そうした情報を社内のSFA(Sales Force Automation)などのシステムに蓄積して共有している企業はまだ少数派だが、かつて取引があったり、失注になったものの商談が発生したりした企業であれば、その時の担当者から情報を入手しておきたい。
また、その取引先に知り合いや間接的な知り合いがいる場合は、そうした情報網から決裁ルートと社内の力関係などの情報を入手しておくのは、「営業力のある会社」の常套手段だ。

決裁ルートを把握する聞き方例

最後に事前に決裁ルートなどの情報を入手できず、商談中にそれを把握する場面での決裁ルートの聞き方を紹介しておこう。

営業を成功させる決裁ルートの把握

これは、商談のルーティーンワークとして普通に聞いてしまって構わない。
例えば;
「最終的なご決定というのは、どのようなプロセスで…」とか
「御社の場合、こうした案件の(ご)決定は(ご)稟議で…」
といった聞き方だ。語尾の「…」がミソで、これは「寸止めの技術」といって、最後まで言い切らないことによって、相手の発言を促す流れになるので、何らかの障害がない限りは相手も自然に話してくれることが多い。

ここで、相手が応じてくれない場合、自身や自社が信用するに至っていないケースと相手の社内事情から明言できないケースが考えられるのだが、まずは前者と判断して、次のアクションは、信用獲得のための一手を講じたい。

また、商談が盛り上がり、距離感が近くなったと思う相手なら;
「こうした案件は、中西部長がOKならOKですよね」
といったカジュアルな問いかけという手もある。
この言い方は「こうした案件は、中西部長がOKならOKですよね」と確認しているのではない。
「OKな訳ないでしょう。私の決裁権100万円ですよ。この金額5300万円ですよねぇ、うちはその金額は常務会の決裁になりますから」
というような、相手から回答を引き出し、決裁ルートを明確にするための問いかけのテクニックなのだ。
これは、いわゆる“鎌をかける質問”の一種だが、有効なので是非、自分なりにアレンジして使いこなせるようになって欲しい。

アプローチ準備のノウハウをまとめた資料をダウンロード

eBook表紙

この記事の内容を含めたアプローチ準備のノウハウをeBookにまとめて無料配布しています。簡単なフォームに入力するだけでダウンロードしていただけます。ぜひご覧ください。

私が開発した「営業サプリ」で営業メンバーを育てませんか?

講師:大塚寿

ここで述べているノウハウやスキルは、読んだだけでも充分勉強になります。しかし、これだけでできるようになるわけではありません。実際の営業場面で「できる」ようになるためには『実践とフィードバック』が必要になります。
私が株式会社サプリと開発した『営業サプリ 売れる営業養成講座』は、営業パーソン自身の営業を前提に実践しながらオンラインで学ぶコースです。しかも専門コーチがマンツーマンで指導する仕組みになっています。
売れる営業パーソンになるスキル大全を身につけるオンライン研修、『営業サプリ』で「売れる」営業パーソンを育てませんか。さあ、営業サプリで営業組織を強くしましょう!

\3分でわかる/
営業サプリ紹介資料 ダウンロード

こちらのフォームにご入力ください(入力時間1分)。*は必須項目です。

1. 事業者の氏名又は名称
株式会社サプリ
2. 個人情報保護管理者の氏名又は職名、所属及び連絡先
個人情報保護管理者 代表取締役 酒井雅弘
info[at]sapuri.co.jp
[at]を@マークに変換してお問い合わせください。
3. 取得した個人情報の利用目的
当該フォームで取得した個人情報は、お問い合わせに関する回答、ご請求いただいた資料の送付、メールマガジンの配信等の目的で利用いたします。また、当社のサービスに関するご案内にも利用させていただくことがございます。
4. 当社が取得した個人情報の第三者への委託、提供について
当社は、ご本人に関する情報をご本人の同意なしに第三者に委託または提供することはありません。
5. 個人情報保護のための安全管理
当社は、ご本人の個人情報を保護するための規程類を定め、従業者全員に周知・徹底と啓発・教育を図るとともに、その遵守状況の監査を定期的に実施いたします。
また、ご本人の個人情報を保護するために必要な安全管理措置の維持・向上に努めてまいります。
6. 個人情報の開示・訂正・利用停止等の手続
ご本人が、当社が保有するご自身の個人情報の、利用目的の通知、開示(第三者提供記録の開示も含みます)、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を求める場合には、下記に連絡を頂くことで、対応致します。
<個人情報お問合せ窓口>
株式会社サプリ 個人情報お問合せ窓口
info[at]sapuri.co.jp
[at]を@マークに変換してお問い合わせください。
7. ご提供いただく情報の任意性
個人情報のご提供は任意ですが、同意を頂けない場合には、第3項にあります利用目的が達成できない事をご了承いただくこととなります。
8. 当社Webサイトの運営について
当社サイトでは、ご本人が当社Webサイトを再度訪問されたときなどに、より便利に閲覧して頂けるようCookieという技術を使用することがあります。これは、ご本人のコンピュータが当社Webサイトのどのページに訪れたかを記録しますが、ご本人が当社Webサイトにおいてご自身の個人情報を入力されない限りご本人ご自身を特定、識別することはできません。
Cookieの使用を希望されない場合は、ご本人のブラウザの設定を変更することにより、Cookieの使用を拒否することができます。その場合、一部または全部のサービスがご利用できなくなることがあります。

この記事の情報は公開時点のものです。

アプローチ準備の記事

営業先顧客のよくあるネガティブ・否定的な反応10パターンと対処法

営業先顧客のよくあるネガティブ・否定的な反応10パターンと対処法

受注の近道!新規開拓営業においてキーパーソンを把握するポイント

受注の近道!新規開拓営業においてキーパーソンを把握するポイント

営業が「受注確度が高い」顧客を見分ける方法・アプローチ法とは?

営業が「受注確度が高い」顧客を見分ける方法・アプローチ法とは?

10分で出来る!営業の基本「顧客分析」の効果的なフレームワーク

10分で出来る!営業の基本「顧客分析」の効果的なフレームワーク

営業の事前準備!顧客にとって有益な「情報収集」の3原則

営業の事前準備!顧客にとって有益な「情報収集」の3原則

「社内人脈」を活かした営業先企業との人脈・パイプ・つての探し方

「社内人脈」を活かした営業先企業との人脈・パイプ・つての探し方

営業は事前準備で決まる!事前準備の3大要素を徹底解説

営業は事前準備で決まる!事前準備の3大要素を徹底解説

法人営業時、案件化しやすいアプローチ先(部門)の見極め方とは?

法人営業時、案件化しやすいアプローチ先(部門)の見極め方とは?

営業が事前準備しておきたい、顧客に「刺さる」トークの3つの設定法!

営業が事前準備しておきたい、顧客に「刺さる」トークの3つの設定法!

営業の「導入事例」の効果的な見せ方とは?5つの切り口とコツ

営業の「導入事例」の効果的な見せ方とは?5つの切り口とコツ

顧客の課題を知る10の方法とは?できる営業の案件化率の引き上げ方

顧客の課題を知る10の方法とは?できる営業の案件化率の引き上げ方

営業が自社の強みを分析できるフレームワーク「4つのP」

営業が自社の強みを分析できるフレームワーク「4つのP」

顧客の信頼を勝ち取る!営業の「業界分析・研究」3ステップ

顧客の信頼を勝ち取る!営業の「業界分析・研究」3ステップ

営業必読!顧客が発注先を決める意思決定プロセス・判断基準とは?

営業必読!顧客が発注先を決める意思決定プロセス・判断基準とは?

営業の教科書 カテゴリ一覧

この連載の著者

エマメイ先生(大塚 寿)

大塚寿 顔写真

1986年、株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。サンダーバード国際経営大学院でMBA取得後、営業研修を展開するエマメイコーポレーションを創業、現在に至る。著書に 『〈営業サプリ式〉大塚寿の「売れる営業力」養成講座(日本実業出版社)』『自分で考えて動く部下が育つすごい質問30(青春出版社)』、『50歳からは、「これ」しかやらない(青春出版社)』など。

大塚寿

私が開発した「営業サプリ」で営業メンバーを育てませんか?

この記事のスキルを身につけるには実践とフィードバックが必要。営業サプリ べーシックコースはそれを実現するオンライン研修です。営業サプリで営業組織を強くしましょう!

eBookイメージ

アプローチ準備のノウハウをまとめた
eBook(PDF)をダウンロード

資料イメージ

オンライン営業研修「営業サプリ」
資料をダウンロード

eBook(PDF)を
ダウンロード

営業サプリ
資料をダウンロード